マウントサイナイ病院のBiomedical Engineering and Imaging Instituteでディレクターを務めるZahi Fayad博士も、この分野に多くの可能性を見出している。前述したような血糖値のモニタリング機能があれば、今以上に個人に最適化された栄養に関するアドバイスをウェアラブルから受けることができる。現在のアドバイスは広い集団の研究に基づくものが多く個別性に乏しいため、この点は重要だ、とFayad博士は語っている。
「腸内フローラは一人ひとり違っていて、食品に対する反応も違うし、ライフスタイルの変化に対する反応も異なる」(Fayad博士)
だが、この種の機能が日常使いのスマートウォッチやフィットネストラッカーに採用される時期も、その可能性も、まだ定かではない。BloombergおよびThe Wall Street Journalの報道によると、Appleは、「Apple Watch」に血糖値モニタリング機能を追加しようと取り組んでいるというが、どちらの報道も、その技術はまだ初期段階にすぎないと示唆している。
Gartnerのシニアディレクターアナリストを務めるRoberta Cozza氏も、まだ今後の道のりは長いと考えている。この分野の研究は進んでいるが、精度と医療上の認可の問題があるというのだ。
「何らかの医療上の承認が必要になるだろうと考えている」、とCozza氏は話す。「そのため、実際に使えて、信頼できるものが登場するまでには、しばらく時間がかかるはずだ」
スマートウォッチとフィットネストラッカーは、すでに医療機器とウェルネス機器との境界線を曖昧にしつつある。血糖値のような高度な指標を追加するとなると、テクノロジー企業各社は、その測定値をユーザーがどう解釈するかも配慮しなければならない。
Cozza氏はこう続けている。「おそらくベンダー各社は、消費者がこうしたデバイスを装着しているときに期待することをもっと明確にできる、新たな手法を見つける必要があるだろう。この分野はますます複雑になってきているからだ」
ウェアラブル分野での進歩に関して、医療とテクノロジーのコミュニティーは同じ目標を掲げているように見える。次の通院までの間、人々が適切に自身の健康を管理できるようにするという狙いだ。
「年に1回の健康診断を受けるだけではなく、日々のあらゆる瞬間にわたる継続的なデータポイントを得ることができる」と、OuraのBecherer氏は言う。
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