Fitbitは、健康指標のパーソナライズ性と固有性を向上させる別の機会を見出している。精神的なウェルビーイングと肉体的なウェルビーイングの関連性を探求することだ。Fitbitは、「Fitbit Sense」と「Fitbit Charge 5」で利用可能な「EDAスキャンアプリ」(訳注:EDAとは、皮膚電気活動のこと)によって、すでにメンタルウェルネスの分野に足を踏み入れている。このアプリは、汗の量の変化を測定して、身体がストレスにどのように反応するかを確認する。
Fitbitは、装着者がそれらの測定値に伴う気分を記録できる機能も提供しており、ユーザーは測定が実行されたときにどのような気分だったのかを確認できる。この種の一定期間のデータを分析することで、Fitbitは、身体の変化が人間の全体的なウェルネスに及ぼす影響について理解を深め、より詳細な洞察を得ることができる可能性がある。
FitbitのデザインディレクターであるJonah Becker氏は、「時間の経過とともに、『今の気分』と『自分の生理現象と指標から分かること』の相関関係に関するデータが蓄積していく」と話す。「これは極めて有益なことだと思う」
皮膚電気活動(つまり、EDAスキャンアプリが測定する汗の値)など、付加的な身体のシグナルを測定する機能も、未来のFitbit機能の基礎となる可能性がある。Fitbitの共同創設者でありリサーチ担当バイスプレジデントを務めるEric Friedman氏は、その例として、Fitbitの睡眠段階機能を挙げた。浅い睡眠、深い睡眠、レム睡眠のそれぞれの段階における睡眠時間を装着者に教えてくれるこの機能は、心拍数やモーションセンサーのデータなど、それよりも先に実装された他の指標がなければ実現できなかったものだ。
「それとEDAを組み合わせたらどうなるだろうか。さまざまなものを組み合わせて積み重ね、いろいろな健康指標の相関関係を確認できるようにする。そうすれば次の新しいものにつながるだろう」(Friedman氏)
その「次の新しいもの」が具体的にどんなものなのかは、不明だ。だが、レポートや専門家の予測では、興味深い分野として、ウェアラブルの血糖値モニタリングが挙げられている。
ただし、それによって、糖尿病患者がスマートウォッチの測定値を基にインスリン投与量を計算できるようになるわけではない。ウェアラブルデバイス用の健康センサーを製造するValencellのプレジデント兼共同創設者であるSteven LeBoeuf博士によると、当面の間は、皮膚に針を刺す侵襲的な機器が依然として必要だという。
代わりに、血糖値モニタリング機能を備える未来のスマートウォッチでは、装着者が低血糖、正常血糖、高血糖のどの状態にあるかを、より幅広い観点で観察することが可能になるかもしれない。LeBoeuf博士によると、それが実現すれば、食事や運動の変化が血糖値に影響を及ぼしているのかどうか、血糖値計を使用する必要があるのかどうか、といったことを装着者が理解するのに役立つ可能性があるという。
「それには、さまざまな利点がある」とLeBoeuf博士。「したがって、Valencellからにせよ、他の企業からにせよ、そのテクノロジーが搭載されたウェアラブルが登場すると思う」
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