パナソニック、換気事業を海外でも加速--ベトナムに新工場、2023年には開発部門設立も

 パナソニックエコシステムズは9月27日、換気事業に関する戦略説明会を発表した。新型コロナの感染拡大を受け、換気、除菌、衛生ニーズが世界的に高まる中での換気が果たす役割と、中国順徳第一分工場の増設やベトナム工場の新設など、生産拠点の現状について説明した。

パナソニック ライフソリューションズベトナムIAQ工場。天井扇、換気扇など、2025年度に約300万台の生産を目指す
パナソニック ライフソリューションズベトナムIAQ工場。天井扇、換気扇など、2025年度に約300万台の生産を目指す

 パナソニックエコシステムズでは、Indoor Air Quality(IAQ)と環境エンジニアリングの2つのビジネスユニット(BU)を持ち、室内空気質関連(IAQ)事業と環境エンジニアリング(ENG)関連事業を展開。発表会では、天井換気扇、レンジフード、熱交換気ユニット、浴室暖房換気乾燥機などの「換気・設備」ジャンルについて話した。

 パナソニックでは、1950年代のコンクリート造集合住宅から住宅の高気密、高断熱化、新建材の登場、花粉やPM2.5対策など、住まいの形に合わせて変化する要望に応えた換気商材を提供。昨今では、新型コロナの感染拡大を受け、リスクが高いとされる空気感染を挙げ「空気感染を防ぐためには、換気を増やす必要がある。CO2濃度を800ppm未満としたうえで措置を行うべき。パンデミックという予期せぬ課題にも対応していく」(パナソニック エコシステムズ 代表取締役社長の小笠原卓氏)とした。

 また、換気が果たす役割をレベル1~4に区分け。CO2やVOC(揮発性有機化合物)の排出、カビ抑制に感性価値を加えた最新の状態をレベル4とし、「レベル4においては中国、北米、日本、欧州などが該当し、付加価値を高めるゾーンになる。体感温度を下げ、ニオイや煙を排出するレベル2に該当する国では、換気の啓蒙を広げ事業につなげたい」(小笠原氏)とした。

換気の歴史とIAQレベル
換気の歴史とIAQレベル
グローバルターゲット
グローバルターゲット

 同日には、ベトナムのビンズオン省に新工場を建設し、10月13日から、天井扇、換気扇の生産および出荷を開始することも発表。合わせて、8月には中国の順徳第一分工場を増設したことも明らかにした。

 ベトナムでこの商品分野の工場を設立するのはパナソニックグループとして初めて。パナソニック エコシステムズ 常務取締役IAQビジネスユニットビジネスユニット長の山内進氏は「住宅着工数やPM2.5レベル、寒暖差などの点をそのほかの東南アジア地域に比べると、ベトナムがもっとも換気事業のチャンスがあると判断した。ベトナムにおける換気市場をパナソニックが牽引していきたい」と設立した理由を説明。

 生産は、ベトナム市場向けの天井扇から開始し、2022年度には、ベトナムとアジア、中東などへも輸出する換気扇へと拡大。東南アジアにおける室内空気質関連機器の主力生産拠点として展開することで、同地域における2025年度の生産台数を2020年度の約1.5倍へと拡大する計画だ。


 2023年度には、各国の生活様式とニーズに合った商品開発を行う室内空気質ソリューションの研究開発部門(R&D)を設置する予定。「ただ単に日本で開発して、各地域に製品を送り、販売するのではスピード感に欠ける。換気扇が進化すると天井裏へ設置することになる。この際、ダクトを通し、排気口から空気を出す必要があるが、各国で天井裏の構造は異なる。その国の躯体の状態を調べて商品化していく必要があり、その機能をベトナムに集約したほうがよいだろうと判断した」(小笠原氏)と開発部門を設置するメリットを説明した。

 パナソニックでは、2002年に中国で開発部門を設立。「開発、製造、販売が一体となり、ローカルフィットする高付加価値商品をチャイナスピードで市場に連打し販売を伸ばしてきた」と山内氏はその成果を話す。

 中国では、次のフェーズにおける事業拡大に向けた主力製品強化のために工場を増設。「板金加工や樹脂成形などから完成品の組み立てまで一貫生産していることが特徴。将来的には物流の自動化や太陽光発電システムの設置などにも取り組みたい」(山内氏)と今後を見据えた。

 パナソニックでは換気事業において、2020年に750億円だった販売を2025年に3割増となる1000億円超を目指す。

生産拠点
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