パナソニック エコシステムズは11月26日、換気をはじめ、調湿、除菌、気流などの高い技術力を持つIAQ(Indoor Air Quality:室内空気質)事業をグローバルに拡大すると発表した。新開発の「調湿ユニット」と空調を組み合わせた新しい空質システムを中国住宅市場に向け発売するほか、住宅および非住宅市場向けの展開を加速する。
IAQは、パナソニック エコシステムズが「環境エンジニアリング事業」と共に展開する事業の1つ。売上構成比は70%を占め、天埋換気扇やレンジフードといった設備や、空気清浄機、空間除菌脱臭機などの家電を取り扱うほか、セントラル水浄化システムやポンプも手掛け、空気質、水質に関するソリューションを提供している。
パナソニック エコシステムズ常務取締役IAQビジネスユニット長の山内進氏は「人間は生きるために体内に空気、水、食料を取り入れるが、9割が空気だと言われている。室内における空気質を上げ、健康と快適な暮らしを提供することは重要。新型コロナ感染拡大防止を受け、昨今は換気や除菌のニーズも高まっている」とIAQの重要性を説明した。
独自の「遠心破砕加湿技術」によって加湿量を細かく制御できる「調湿ユニット」は、熱交換気システムと空調を組み合わせることで、温度、湿度、換気量(空気清浄度)を統合リモコンで一括制御することを実現。2021年4月に中国の住宅市場に向けに販売する。
遠心破砕加湿技術は、高速回転するドラムから遠心方向に吹出した水滴を壁面にぶつけて微細化し、空調で加熱された空気に含ませることで加湿する仕組み。ドラムの回転数と加熱量を変化させることで加湿量を自由に制御できる。
中国では、室外機が置けるスペースが1台のみというケースが多く、VRF(Variable Refrigerant Flow)を使って複数の室内機を制御する方法が一般的。調湿ユニットを付加することで、湿度をコントロールし、空調と湿度の融合で居住空間を最適化する。
なお、日本の住宅においては、室外機と室内機が1対1で設置されているため、今回のシステムをそのまま導入することは難しく、日本に適した構成の空質システムを展開する予定としている。
パナソニックでは、2019年に空気質・水質の非住宅空間ソリューション事業を創出する「Reboot Space」を愛知県春日井市にオープンしているが、同日には、最新のIAQ技術をパッケージ化した小型クローズ空間「Reboot Space II」を新設したことも発表。温度、湿度、清浄度、気流の空質と、除菌、脱臭、香りをコントロールする機器をパッケージ化し、外気が変わっても空質を一定範囲内に制御する「空質制御パッケージ」を体験できる「Air Hospitality」や、温度・湿度・気流と香りをコントロールする機器をパッケージ化し、さまざまな条件に合わせた空気をスピーディに作り出す「Air Creation」を公開している。
パナソニック エコシステムズ 代表取締役社長の小笠原卓氏は「今後は、現在展開の少ない、ホテル、オフィス、病院などの非住宅分野に注力し、市場の成長を拡大していきたい。IAQには温度、湿度、清浄度、気流の空質4要素と除菌、脱臭、香りの感性3要素の7つの要素がある。これらを組み合わせて健康を維持し、快適な労働環境を提供する。これらの取り組みにより、2019年度に30%だった非住宅構成比を2025年には40%に拡大し、市場の成長以上の事業拡大を目指す」とした。
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