Fair Shotは無料のサービスだ。Cloudflareは、大規模イベントのチケットを販売する企業に向けたツールを開発中にアイデアを着想したといい、そのツールはサービスとして販売が予定されている。
Penney氏によると、このサービスは、ワクチン接種が始まってからサンルイスオビスポ郡が提供できた「数少ない、満足できること」だという。郡が住民に対して、「機能していないリンクで苛立たせる代わりに、『もう大丈夫。あなたがここで列に並んでいることは分かっている』と言えるようになった」とPenney氏。
サンルイスオビスポ郡は、ワクチン接種のために事前登録して予約できる他のソフトウェアツールが登場したことで、待合室モデルからさらに一歩前進している。躍起になってワクチンサイトの再読み込みを繰り返さなくても、接種資格とワクチンの供給状況に応じて予約が可能になったら、郡から通知が来るからだ。現在、いくつかの州と地域が事前登録を利用しているが、これもプロセスの効率化を狙って開発されたプログラムによるところが大きい。
GoogleとMicrosoftはどちらも、行政機関が住民を事前登録しておき、予約が可能になったときに通知できるソフトウェアを開発している。ワクチン接種が始まった初期の頃、バージニア州の地方自治体は、それぞれ独自に事前登録ツールを使っていたため、30種類ほどのシステムが乱立し、登録済みかどうかの情報が共有されないという事態に陥った。そこで、2月には州政府が、Googleの「Intelligent Vaccine Impact」技術を利用する州共通のサービスを発表する。それまでにあった120万件の事前登録を、「Google Cloud」でホストされている1つのサービスにインポートしたのである。初日だけで18万件の事前登録が処理され、週の終わりまでにその数は40万に達した。
「州のインフラストラクチャーでは対応しきれなかっただろう」と、バージニア州の最高情報責任者を務めるSuresh Soundararajan氏は言う。このときの経験は、行政機関が住民に他のサービスを提供するうえで、クラウドサービスがいかに有効かを物語る、有望なテストケースになったとSoundararajan氏は語った。特に、記録が数百万の単位にのぼる医療関係のサービスでは効果は絶大だろう。
Googleのツールでは、接種資格の規則が変わった場合でも、行政のウェブ管理者が設定を調整できる。また、各州でワクチンの分配量も把握しやすくなるため、連邦政府にワクチン供給の追加を要請するのも円滑になると、Googleの公共部門デジタル戦略担当ディレクター、Todd Schroeder氏は語る。
同氏はまた、接種がさらに進んで需要が供給を下回るようになると、誰がワクチン接種を済ませているかについての統計がますます重要になるとしている。行政はそのデータを利用して、ワクチン接種が進んでいない地域を割り出し、そうした住民層に働き掛けるための方針を立てられるようになる。
市中に十分なワクチンが出回ってくると、「供給量は問題ではなくなり、市民が何を信じるかが重要になってくる。そうなれば、キャンペーンは全く違うものになる」と同氏は語った。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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