パナソニックの充電式ニッケル水素電池「eneloop(エネループ)」が、同社乾電池事業において、独立したブランドコミュニケーションを開始した。
パナソニックは、2020年11月14日に、エネループの発売から15周年を迎えたことにあわせて、エネループのブランドサイト「エネループ グローバルWEBサイト」を開設したが、2021年3月末までにコンテンツを再整備。エネループの機能を紹介したり、技術説明を行う動画とリンク。英語に加えて、ポルトガル語と中国語を追加する。
パナソニックでは、2019年初めから新たなブランドコミュニケーションに向けた準備を開始していた。エネループのデザインを一貫して手掛け、今回のプロジェクトでもリーダーを務めたパナソニック インダストリアルソリューションズ社エナジーデバイス事業部コンシューマーエナジービジネスユニット市販マーケティング部コミュニケーション課課長の水田一久氏は、「乾電池と二次電池は明確にターゲットが異なる。それぞれにあわせたブランディングが必要と判断したことが背景にある」と前置きし、「二次電池の購買層が多い北米や欧州地域を中心にブランディングを強化。インドやブラジル、中国もサブ地域としてブランディング展開を行うことになる」という。
エネループは、現在、約80カ国で事業を展開。コロナ禍において、オンラインでの販売が増加しているという。日本でもオンライン販売での購入が増加しているようで、一部報道では、2020年11月27日から行われた「Amazonブラックフライデー&サイバーマンデー」における開催初日の売れ筋ランキングで、21位と22位にエネループが入り、在宅時間の増加に伴い、家庭内での乾電池利用が増加。それにあわせて、充電して繰り返し利用できるエネループの売れ行きが伸びていることが示された格好だ。
Amazon.co.jpでは、エネループ本体のPanasonicのロゴカラーを通常モデルの青ではなく、黒にした特別仕様で販売されていたり、コストコでは特別仕様の本体と充電器をセットにした製品が売られていたりといったことも行われている。
今回のブランドコミュニケーションの強化は、グローバルでのエネループの認知度を高め、新規ユーザーを獲得し、ファンを拡大する狙いがある。
パナソニックでは、「Creating New Life with Energy」を、乾電池および二次電池によるバッテリーブランド全体のアイデンティティとし、「Trust」をブランドパーソナリティに設定。その考え方のもとで、エボルタなどの乾電池は「POWER YOUR DAY」のブランドコンセプトを打ち出し、エネループによる二次電池は「For a Sustainable Lifestyle」というブランドコンセプトをもとにした商品展開を行ってきた。
この基本姿勢をベースに、エネループのブランディングを示したのが、「Brand Wheel」である。
ここでは、エネループの消費者ターゲットとして、「子供のいる家族」、「環境意識が高いミレニアル世代」、「写真家」、「ゲーマー」を設定。「日常生活の上で、多くの電池を必要としている人たち」、「環境にやさしい商品や充電池を選択する人たち」が、エネループの消費者の姿であり、そうした消費者に対して、「最高性能で環境にやさしい充電池」という価値を届けることができるとする。
そして、「2100回の繰り返し利用や、自己放電しにくい特徴、出荷時点では太陽のエネルギーで予備充電されていること、プレミアムなデザインといった、エネループならではの差別化されたメリットも持っている」とする。
同社が、日本、米国、ドイツ、インド、タイ、ブラジル、ベトナム、ペルー、メキシコ、中国の10カ国を対象に調査したところ、製品を見て、エネループであると認知した人は61.7%となっているが、二次電池(充電池)としての第一想起を含む純粋想起の比率が低く、マーケティング上では、この改善が求められているという。
パナソニックでは、エネループ グローバルWEBサイトの新設とともに、新たなキャンペーンワードとして、「Recharging a Better Tomorrow」を設定。パナソニック インダストリアルソリューションズ社エナジーデバイス事業部コンシューマーエナジービジネスユニット市販マーケティング部コミュニケーション課の八木南帆氏は、「これまでの15年間で、エネループのコンセプト、技術、デザイン、使い心地が世界中で評価されてきた。エネループは一度使うと離れられないという評価も多くの人から得ており、リピートユーザーも多い。だが、知る人ぞ知る状態になっているという課題がある。グローバルにおいて、エネループの認知度をいかに高めていくかが、今後の取り組みになる」とした。
「自信をもって勧められる製品であるエネループを、世界中のより多くの人に理解してもらうための活動が必要である。コンセプトなどの発信を改めて強化することと、お客様の不満点の解消を目指して、エネループ グローバルウェブサイトを構築した」と続ける。
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