東京・渋谷を中心にフードデリバリーサービス「Chompy(チョンピー)」を展開するSYN(シン)は9月1日、「各社CEOが語る『食』のインフラ作りに挑むスタートアップのリアル」と題したトークイベントを開催した。イベントではDCMベンチャーズ プリンシパルの原健一郎氏がモデレーターを務め、シン CEOの大見周平氏とクックパッド Japan CEOの福崎康平氏、10X CEOの矢本真丈氏が登壇し、食に関するサービスをB2C・B2B分野で展開する各社の現状と今後の展望などについて語り合った。
Chompyを展開するシンの大見氏は、同社のバリュー/カルチャーについて「幸せ」「共感と自己肯定感」「合理と感情」の3つを挙げた。
「まだバリューを言語化できていないのが実態だが、CTOの八木(達也氏)とも共有しているものを書き出した。事業は何かをなす手段で、月並みだが事業の便利さの先に『幸せ』という共通ゴールを持っていることが大事だ」(大見氏)
共感と自己肯定感は、Chompyにも表現できていると自信を見せる。
「会社全体としてポジティブな循環を作り、コミュニティにもプロダクトにも、ポジティブなオーラを出したい。とはいえ自分自身が弱く、独りよがりだとポジティブなオーラを出せない。採用時にも『共感力』があるか、自分で自分を肯定できるマインドセットを大事にしている」(大見氏)
「合理と感情」はプロダクトや事業作りにおける重要なポイントだという。
「『食』のテーマは日常に関わるため、『安くて便利』も大事だが、『エンタメ』の要素や、人と人がコミュニケーションする『メディア』としての役割も強い。合理的に作る側面と、エンタメ要素を作る側面の両輪を回せるといいプロダクトを作れると考えている」(大見氏)
クックパッドは日本国内のサービスからスタートしたが、現在は英国のブリストルに海外事業の拠点を構えて世界74カ国・地域に展開するグローバルサービスとなっており、「バリューやカルチャーを全社で作っている」とJapan CEOの福崎康平氏は語る。
「クックパッドは『料理の会社』とか『テクノロジーの会社』などと言われるが、たくさんの作者がレシピを投稿するコミュニティを作るプラットフォーム企業だ。仕組みを作り、それをたくさんの方に広げて事業を大きくしていく。その中で、一般的な上場企業では考えられないくらい新規事業に投資している。重要なのは新しいチャレンジをする時に『自律して行動すること』、できない言い訳を並べてやらないより、こうすればできるだろうと『楽観的にやる習慣』、新しいものを作るときに『やりきる力』だ。これらの要素がそろっている人が会社の中に多いと思っている」(福崎氏)
10X CEOの矢本真丈氏が掲げる同社のバリュー/カルチャーは「10xから逆算する」「自律する」「背中を合わせる」の3つだ。
「10Xは非連続なことをやろうという企業なので、積み上げではなく逆算しないとうまくいかない。2つめは、人にはできないことができるプロフェッショナルが集まることで大きなことができるというのが組織に対する考え方なので、自律した個人の集団でいようということ。3つめはそれとセットになる考え方だ。(自律した個人の集団)とはいえ、隣には別の専門家が座っているから、お互い得意な領域は任せあってリスペクトし、しっかりコミュニケーションを取りながら仕事をしようということ。“10x”(10倍の成果)を成し遂げるためにはどうすればいいか、まさにバリューを逆算して考えたものだ」(矢本氏)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」