「Surface Duo」はスマホ新時代の幕開けか、失敗作の再来か

Ian Sherr (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2020年08月21日 07時30分
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 7月、Microsoftはあまりうれしくない記念日を迎えた。5年前の2015年7月に、同社は史上最大級となる失敗を発表したためだ。

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 当時まだMicrosoftの最高経営責任者(CEO)に就任して1年ほどだったSatya Nadella氏が、76億ドルもの減損処理を発表したのだ。2013年に発表した、携帯電話メーカー大手Nokiaの買収に伴って計上された損失だった。Nadella氏は、近い将来にスマートフォン市場から撤退するともとれるようなことまで口にしていた。

 結果的には、Microsoftのスマートフォン市場への野望がこのとき立ち消えになったわけではない。Nokiaに関する減損処理を進めると同時に、Microsoftの社内では、スマートフォンとタブレットの両方にまたがる新しいデバイスの開発計画が生まれつつあったのだ。全世界で5000億ドル規模に達し、サムスンやApple、華為技術(ファーウェイ)が優位を占めているスマートフォン市場に、Microsoftがやっとその存在感を示せる可能性を秘めたデバイス。

 その成果が、「Surface Duo」と名付けられた1399ドル(約15万円)のスマートフォン的なデバイスだ。約250gで、5.6インチのディスプレイを2枚搭載し、見開きにすると真ん中にヒンジの継ぎ目がある1枚の大画面になる。

 「ここには、新しいカテゴリーの余地があると確信してきた。デュアルディスプレイで生産性が上がることは分かっているからだ」。Microsoftの最高製品責任者であり、Surface部門の責任者を務めるPanos Panay氏は、先ごろ、同社独自の設計について尋ねたインタビューで、こう答えた。

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提供:Richard Peterson/CNET

 「これを設計したときの意図は、『薄く、軽く、美しく、ごくエレガントに。手に取ったときにそう感じてもらえるためには、どうすればいいか』ということだった」(Panay氏)

 製品を通じて人々の暮らしを変えるという類のうたい文句は、テクノロジー業界のトップではおなじみだ。なかでもPanay氏は、Microsoftのイベントで感情のこもったステージを務めることで知られている。機械的に台本を読み上げるマーケティング担当者が多いなかでは異例だ。

 そんなPanay氏だが、Surface Duoは世界に向けて何らかの貢献ができるという信念には揺るぎがない。2019年に発表されたとき、テクノロジー業界の関係者の間では、いったいスマートフォンなのか、はたまた2画面タブレットなのかと議論を呼んだが、それは問題ではない。

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 ビデオチャットを交わしながら、Panay氏のSurface Duoを見せてもらうことができた。右画面はメッセージが表示され、左画面にはスポーツ専門チャンネル「ESPN」が流れている。カレンダーの招待状とメールは隠しながら、同端末の機能を熱く語ってくれた。「私は、今以上のモバイル化と生産性を目指して、世界は前に進まなければならないと思っている」

数々の失敗の歴史

 Microsoftを鼻で笑うのは簡単だ。実際、そういう人も多い。創業45年を迎えた同社は、テクノロジー業界の年寄り政治家のように扱われており、確かにそういう面はある。ほかならぬNadella氏自身、同社がクールな企業でないことは誇らしげに認めている。「ここにいるのは、自分がクールになるためではなく、ほかの人たちにクールになってもらうため。人々をクールにさせることで、自分も自然とクールになる(中略)重要なのは結果だ」。2018年に同氏が語った言葉だ。

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提供:Richard Peterson/CNET

 あまりイケていない会社に思えるかもしれないが、時価総額は1兆5400億ドル(約163兆円)で、AmazonやApple、Googleの親会社Alphabetなどと並んで世界でも5本の指に入る。「Windows」ソフトウェアは、全世界の77%以上のコンピューターに搭載されている。そして、生産性ソフトウェアである「Office」にいたっては、あまりに深く現代の文化に根付いているため、Googleが提供している無料の競合アプリケーションの名前など、筆者のまわりでもほとんど知られていないくらいだ。「ほら、『Excel』のGoogle版」とか、「Googleの『PowerPoint』ね」とか、そんな調子なのだ。

 Microsoftがあまりにも強大化したため、2002年には裁判所も、同社が独占禁止法に違反していると判決するほどだった。だが、米国政府は軽くとがめただけで、Microsoftを解体することはなかった。「Microsoftが消えてなくなる道は、自滅しかなくなった」。業界の専門家Robert Cringely氏は、評決の後にこう書いている

 実際、Microsoftはある意味、自滅を試みたと言える節もある。

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