「Surface Duo」はスマホ新時代の幕開けか、失敗作の再来か - (page 3)

Ian Sherr (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2020年08月21日 07時30分

本体の設計

 2019年にMicrosoftのHuman Factors Engineering Labを見学したとき、自分が使ったことのある標準のものよりも重い「Xbox」用コントローラーを見つけた。サイズも大きく、ボタン同士の間隔が広かったので、いくつかのボタンには指を伸ばさないと届かなかった。当時、同ラボで設計担当シニアディレクターを務めていたCarl Ledbetter氏によると、さまざまなユーザーがコントローラーを持ったときの感覚を、エンジニアがより詳しく理解できるように作っているのだという。このコントローラーでは、「5歳児が持ったらどんな感じなのかを体験できる」とLedbetter氏は語っていた。

 コロナ禍によって、Surface Duoでは、現場でそうした楽しい瞬間を味わうことができなくなった。

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提供:Richard Peterson/CNET

 筆者は今回、ウェブカメラ越しに、まずPanay氏の自宅をのぞかせてもらい、次にMicrosoftのキャンパスにあるプレゼンテーションルームの1つとつながった。同社によると、そこで働く従業員たちは安全で、ソーシャルディスタンスに関するガイドラインを順守しているという。われわれは、同社のビデオチャットソフトウェアである「Microsoft Teams」で技術的な問題に遭遇し、こうしたビデオチャットを問題なくスムーズに使えるようにできる人がいるとしたら、それは技術に詳しい私たちのような人のはずだ、と冗談を言っていた。

 プロトタイプが並べられていたわけではなかったが、Panay氏のチームの4人のメンバーが、Surface Duoの薄型の2画面設計とそれを可能にしたテクノロジーの開発過程について、詳しく説明してくれた。

 例えば、本体を薄くしようとすると、電子部品を画面のベゼル付近に押しやらなければならなかったという。だが、その後、幹部たちはベゼルの小型化も要求してきた。Surface Duoに組み込まれている2つのバッテリーはサイズが異なり、2つの画面の裏にそれぞれ配置されている。そのため、同社は特殊なバッテリー管理技術を開発して、それらのバッテリーが、ユーザーに気づかれないように連携して充電、放電し、全体として機能できるようにする必要があった。それと同時に、ヒンジの間にワイヤーを配線しなければならなかったのだという。

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提供:Scott Stein/CNET

 同社は、ヒンジの開発に多くの時間を費やした。ヒンジは、2つの画面の上部と下部をつなぐ、まるで小さな袖口のように見える。外側は主にステンレス製で、内部は、可動機構が鉄と銅の粉末、ワイヤーが銅とニッケルをベースにした合金から作られている。

 Microsoftによると、この「2軸」ヒンジは360度動くように設計されているという。しかし、どの角度で止めても、画面がぐらつかずに固定される必要がある。動かしたいときは簡単に動くが、誤って動いてしまうことのないヒンジを作るのは、大変な作業だ。

 Microsoftは、試作品で何百万回もの開閉テストを実施したとしているが、ヒンジの耐久性については具体的な数字を出さず、デバイスの「寿命よりもはるかに長持ち」すると話すにとどめた。

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