Microsoftの職歴16年のベテランエンジニアで、ほかのSurface製品にも携わっているPavan Davuluri氏は、「ヒンジの小型化はある意味で基本的なことだ」と話す。Davuluri氏によると、Surface Duoをうまく形にするために、Microsoftはディスプレイにつながるヒンジを厚くしすぎずに超小型化する必要があったという。
2つの画面の相対的な位置関係を特定するジャイロスコープセンサー群が搭載されているので、デバイスの持ち方によって、アプリや動画の表示の仕方が変化する。ユーザーが2つのタッチスクリーン間を移動していることを予測するソフトウェアもある。指やペンでアプリを1つの画面からもう1つの画面にドラッグしようとするような場面だ。このソフトウェアは、ユーザーが写真やそのほかのメディアを画面間で移動させようとしていることも検知する。
Microsoftの設計者たちは、より分かりやすい視覚的な手がかりとなるものをAndroidに組み込んでいる。Surface Duoで、特定の2つのアプリが並べられた状態を記憶しておくように設定できるので、必要なときに、簡単にその2つのアプリに戻ることができる。この2つのアプリをグループ化すると、角の丸い、灰色の四角形が2つに分割されたような形の特別なホーム画面アイコンが作成される。このアイコンは、フォルダーよりも少し大きく、アプリが片側ずつに並べて表示される。
最後に、Panay氏の設計チームは、2つの画面の位置を完璧にそろえるために工夫を施したのだという。そのために、Microsoftは少し大きい画面を上部と下部の各ベゼルの下に組み込んだ。こうすることにより、製造過程(Surface Duoは中国で作られる)でデバイスの左側と右側を組み合わせるとき、それぞれの画面の表示領域を上下にほんのわずか動かして、位置を合わせることができる。その後、2つのディスプレイの表示で光と色がほぼ同じ具合になるように調整を施す。
「ディスプレイは雪片のようなもので、全く同じディスプレイは2つと存在しない」。MicrosoftのApplied Sciences Groupの責任者としてコンピューターの操作方法に注力している、同社のテクニカルフェローを務めるSteven Bathiche氏は、そう語る。「アスペクト比からピクセルに至るまで、われわれがこれまで下してきたあらゆる決定や、取り組んできたあらゆる技術革新の狙いは、ユーザーの作業の流れを遮ることなく、より多くのタスクをこなせるように支援するモバイルの形を設計することにあった」(同氏)
Bathiche氏は、2画面の設計については、雑誌や書籍へのオマージュだとしている。Surface Duoの画面は、雑誌や書籍の4:3のアスペクト比に近い。しかし、最近の多くの「iPhone」で採用されている19.5:9や、先頃発表されたサムスンの1299.99ドルの「Galaxy Note20 Ultra」の19.3:9といったアスペクト比とは異なる。Amazonが、実物の書籍を読むときの体験を再現する「Kindle」アプリを、Surface Duo向けに開発しているのも、納得がいく。
「基本的に、われわれは、紙やノート、撥水加工の黒革風手帳や石版などから着想を得ている」(Bathiche氏)
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