スマホとタブレットだけじゃない--折りたたみ画面で広がる未来の可能性

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2020年03月13日 07時30分

 筆者はこれまで、折りたたみ画面搭載デバイスが普及していく様子を遠くから眺めてきた。興味がなかったわけではないが、価格が高いことや、つくりが奇妙であること、さまざまな妥協があることが理由で、多くの場合、そうしたデバイスに意義を見いだせないでいた。

サムスンの「Galaxy Z Flip」と「Galaxy Fold」の写真
サムスンの「Galaxy Z Flip」(写真左)と「Galaxy Fold」
提供:Andrew Hoyle/CNET

 だが、2020年に登場している折りたたみ画面搭載デバイスのいくつかを間近で見たことによって、その見方が変わった。サムスンの「Galaxy Z Flip」、さらにはMotorolaの新しい折りたたみ式スマートフォン「Razr」を手に取ったとき、合点がいった。いずれの機種も、新しさだけでなく、どこか懐かしさも感じさせる。これらは、筆者が初めて携帯電話を持ち始めた時代、つまり、ポケットの中の端末が巨大なガラスの板ではなかったときの、携帯電話の小型化という動きに回帰した製品なのだ。今後、折りたたみ式スマートフォンはもっと折りたためるようになり、さらに柔軟になっていくのだろう。

 筆者は「ニンテンドーDS」を思い出した。この2画面デバイスの元祖とも言える製品について、当初はクレイジーな考えだと思っていたが、それから引き込まれていった。ディスプレイがむき出しになることを心配せずにしまえるという点を大いに気に入っていた。

 折りたたみ式タブレットは、実用性を発揮しそうな感じがある。ノートPCやタブレットとしてだけでなく、折りたたみ可能な大画面モニターとしても使用できるレノボやDellのコンセプトデバイスは、その格好の例だ。「実用性」なんて言ってしまうと、頭がおかしいのでは、と思う人もいるかもしれない。タブレットとノートPCのハイブリッドをCES 2010で初めて目にしたとき、このハイブリッドノートPCが最終的にどこへ向かっていくのかについて自分が考えたことを思い出した。筆者は、タブレットとノートPCのそれぞれの長所を兼ね備えたデバイスが欲しいと思っていたのだ。これからの折りたたみ式デバイスは、その願いを叶えてくれるかもしれない。

 だが、折りたたみ式デバイスには、まだ始まってさえいないように思える、はるかに大きな未来がある。筆者は、タブレットでもスマートフォンでもないデバイスを、変形させたり曲げたりできるようになったらどうなるか、興味がある。すぐに思い浮かんだいくつかの方向性を、以下で紹介していこう。

ウェアラブル:究極の全画面デバイス?

 現在、ほとんどのスマートウォッチは、小型画面にバンドが付いており、それを手首に装着するという形になっている。過去には、大型の曲面画面のプロトタイプや、折り曲げられるコンセプトもあった。高価すぎるものや簡単に壊れるようなウェアラブルは欲しくない。だが、手首に巻くことのできる、より大型のディスプレイをウェアラブルに搭載する方法を考えるのが、明白な次のステップであるように思える。

 筆者は腕時計に大型ディスプレイは必ずしも必要ではないと思うが、より大きな情報表示や読みやすいテキストを望んでいる人もいるかもしれない。周囲の環境に合わせて脈打つように点滅したり、デザインを変えたりできるリストバンドを単に見せびらかしたいだけという人もいるかもしれない。

 企業各社は何年も前から、このアイデアのプロトタイプを模索している。レノボは、折り曲げて手首に装着できるスマートフォンのコンセプトを2016年に試していた。2019年に披露された大きくて不格好なスマートフォンの「nubia Alpha」も、折り曲げて手首に巻き付けられるディスプレイを搭載していた。サムスンも曲面ディスプレイを搭載するスマートウォッチを2014年に発売している。2019年には、TCLも折りたたみ式スマートフォン/スマートウォッチのコンセプトに取り組んでいたようだ。

「nubia Alpha」
「nubia Alpha」は曲面スクリーンを搭載する大きめのスマートウォッチだ
提供:Angela Lang/CNET

 少し曲げられる曲面ディスプレイが1つだけあるのと、ディスプレイが複数に分割され、それぞれがつながって手首に巻き付く形のどちらがいいのかは、自分でも分からない。あるいは、2つ目のディスプレイを備えた、曲げられるスマートウォッチバンドの方がいいかもしれない。どれも興味深く、実現の可能性もある。おそらく、これらのウェアラブルの多くは、ユーザーをいらつかせ、全く実用的ではないものになるだろう。だが、折りたたみ式スマートフォンがより一般的になりつつある今、これまでよりも速いペースで、こうした形の模索が続けられるはずだ。

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