サンフランシスコにあるモスコーンセンターの屋上に2人のスカイダイバーが着地し、マウンテンバイクに乗った人が基調講演の会場へ移動、Googleの共同創業者Sergey Brin氏のもとに世界最初の「Google Glass」を届ける。あのデモから、もう8年もたったのだろうか。そのとおりだ。
コンピューターディスプレイをメガネに組み込むというアイデア自体は、新しいものではない。実際、筆者もメガネ型ディスプレイ付きのウェアラブルコンピューターを試用したことがある。1990年代中頃のことで、OSは「Windows 95」だった。だが、このアイデアを一躍有名にしたのはGoogleだ。筆者も、早期テストモデルのGoogle Glassには喜んで1500ドルを払うつもりだったが、残念ながらそれは実現しなかった。
Google Glassは短期間ながら人気を博したが、「Glasshole」(「glass」と「嫌なやつ」を意味する「asshole」の合成語)と呼ばれるようになった、マナー知らずの行き過ぎたファンへの反感はもっと強かった。Glassholeにならないように、とGoogleがユーザーに注意しなければならないほどだった。それでも、2014年に最終的に発売されると、すぐに売り切れている。
では、みんながGoogle Glassをかけるようになっていないのは、なぜなのだろう。正直に言って、分からない。スマートグラスは、これ以上ないほど合理的だと筆者は今も思っているのだが。「OK Google。レストランへの道順を教えて」と口で言うだけで目の前に地図が開くのに、いまだにスマートウォッチやスマートフォンを見なければならないのは、どうしてなのか。
というのは筆者の考えであって、消費者の多くは筆者と考えが違うようだ。Google Glassも、Epsonの「Moverio BT-300」など他の拡張現実メガネも、大量販売には至らなかった。その代わりに、Googleは2017年、法人市場への進出を決めて「Glass Enterprise Edition」を発表した。2020年に入ってから、「Glass Enterprise Edition 2」の販売を開始しているので、ロジスティクス、製造業、現場作業などの企業向けには明らかに成功しているのだ。
では、前評判どおりだったかというと、残念ながらそうではない。期待からは程遠かった。だが、断念していない企業もある。Solosと、Everysightの「Raptor」は、サイクリスト向けにヘルスモニタリング機能の付いたスマートグラスを開発した。スマートグラスが、現在のスマートウォッチくらいに普及する日は、意外と早く来るかもしれない。
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