英国のプライバシー監視団体Privacy Internationalも最近のレポートで、Bluetoothは実際の位置ではなく、近接度の追跡に基づいているので、GPSや通信基地局のデータよりもはるかに非侵入的だと結論付けた。
Hancock氏はNHSXのアプリについて、次のように述べた。「すべてのデータは最高の倫理およびセキュリティ標準下で、NHSの治療と研究のためだけに使う。また、必要以上に長期間データを保持することもない」
Bluetooth信号だけを追跡するアプリであっても、プライバシーについての懸念を表明し、慎重な姿勢を見せる専門家もいる。例えばPrivacy Internationalは、Bluetoothデータから「大量の人々のデータ」の匿名性が失われる可能性について言及した。
ケンブリッジ大学教授でセキュリティエンジニアリングを専門とするRoss Anderson氏は、NHSが接触追跡アプリのプライバシーとセキュリティについて相談している専門家グループの一員だが、軽く匿名化しただけの個人データを政府によるパンデミック対策システムで収集することに対し、同様の不安を表明した。
「中央集権型システムに対する公衆衛生論争の圧倒的な力は認識しているが、私はこの25年間、NHSのシステム構築能力の低さや、誰かにとって価値のあるデータをどうにか集めようとするたびにプライバシーの約束を破ってきたことも目の当たりにしてきた」(Anderson氏)
Bluetooth技術の潜在的な問題はプライバシーだけではない。Anderson氏によると、本来問題のない接触まで過剰に報告してしまう問題もあるという。Bluetoothは、公園での2m以内の距離での立ち話と、スーパーのレジの行列に安全な間隔で並んでいる人同士を区別しない。
虚偽報告の問題もある。自分のスマートフォンを犬の首輪に付けて公園を走り回らせるいたずらから、子どもがアプリに偽の診断を入力することまで、匿名で使えるアプリはあらゆる種類のいたずら者の遊び場と化す危険性がある。
もう1つの問題は、アプリがあまり受け入れられないかもしれないという可能性だ。オックスフォード大学のBig Data Instituteは、感染者との接触情報を十分に伝えるには、英国人口の60%以上がこのアプリを使う必要があるが、世界での前例から、その比率に到達するのは簡単ではないとみている。例えばシンガポールでは、接触追跡アプリをダウンロードしたのはほんのわずか(約13%)だった。
AppleとGoogleの提案は、この問題の解決策になるかもしれない。両社の究極の目標は、アプリのダウンロードを不要にし、Bluetooth採用の接触追跡機能をOSに直接組み込むことだ。「このようなアプローチはAPIよりも堅固なソリューションであり、ユーザーがオプトインすることを選択した場合、より多くの人が参加できるようになる」とAppleは述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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