2010年代を代表するIT界の30人を3回にわたり紹介するシリーズ。今回は上編と中編に続く下編をお届けする。
Nakamoto氏の本当の正体を知っている人はほとんどいないようだ。おそらく仮名だと思われるこの名前は、ビットコインの開発をした人物(あるいはグループ)だとされている。ビットコインは2009年にゆっくりとスタートしたが、この10年間で大変な盛り上がりを見せた仮想通貨革命の端緒となった。
ビットコインは最初こそ価値が低かったが、1ビットコイン当たり最大で2万ドルの値を付けたこともある。ビットコインの登場は、ものすごい数の仮想通貨の開発と、その基盤技術であるブロックチェーンを中心とした、まったく新たな産業の創出に繋がった。自分がNakamotoだと主張する人物が現れたこともあるし、Nakamoto氏ではないかと言われ、そうではなかった人もいたが、今もその正体は不明なままだ。
Googleはもともと「Don't be evil」(邪悪な行為をする存在にはならない)という方針を掲げていたが、最近では消費者や規制当局に、自分たちは邪悪な行為をする存在ではないと懸命に説明せざるを得ない状態になっている。Pichai氏は、同社が2015年にAlphabetに変わり、Googleの名前がインターネットに特化した子会社(Android、YouTube、検索サービスを含む)に引き継がれた際に、Googleの最高経営責任者(CEO)に就任し、同社の新しい顔になった。
その最初の4年間、Googleは検索サービスからモバイルOS、ネコのオンライン動画に至るまで、あらゆる分野を支配し続け、その一方で「Google Home」や「Pixel」シリーズのデバイスなどの新しいハードウェアでも大胆な取り組みを見せた。しかし、晴天の日ばかりではなかった。Pichai氏は、Youtube上でのヘイトスピーチや誤情報の蔓延に関する舵取りをしたり、Google役員のセクシャルハラスメントに対する抗議デモに対処したりしなければならず、中国の検閲に対応する検索サービスの提供を模索していたことが批判されたりもした。もちろん、同社の多様性ポリシーを批判したJames Damore氏にまつわる話もある。それでもPichai氏とGoogleは、当面の間この業界の頂点に君臨し続けるだろう。
#MeToo運動の数年前に起きたゲーマーゲート騒動は、多くの業界で、権力を握っている人々に悪質な行動やハラスメントが広がっていることが暴露される社会の前触れだった。Quinn氏は、同じくゲーム開発者であるBrianna Wu氏やメディア評論家のAnita Sarkeesian氏とともに、後に#gamergateのハッシュタグと結びつけて認知されるネット上の荒らし屋からひどい嫌がらせや脅迫を受けた、初めての例となった。この出来事は、ネットでどれだけ悪いことが起こり得るかを示す早期警戒警報だったと言っていいだろう。
Quinn氏は2017年に、ゲーマーゲート騒動で得られた体験やひらめきを「Crash Override: How Gamergate (Nearly) Destroyed My Life, and How We Can Win the Fight Against Online Hate」と題した本にまとめた。同氏は今もゲーム業界内のハラスメントに関して積極的に発言している一方で、新たなコミックを(MarvelとDCの両方で)量産しつつ、インディーズゲームの共同制作も行っている。
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