街の歩道でキックスクーターに蹴つまずいたり、スマートフォンのアプリで大型SUVを呼び出して友だち全員で乗ったりしたことがあるなら、文化の大きな移り変わりを目撃していると言っていい。この10年で、「モビリティ」の概念は、自動車産業を大きく超えて生活の隅々までカバーするようになった。モビリティの大部分を形成しているのは今も車だが、2010年代に起こった技術的および文化的な変化によって、私たちは生活のいろいろな面について、また移動手段について再考を迫られている。
自動車産業の大部分が、2010年代の前半を「グレート・リセッション」のどん底からはい上がることに費やされたので、モビリティにおける破壊的技術革新の多くは、この10年の後半に起きたものだ。にもかかわらず、これから紹介する人、考え方、判断のすべてが、大規模な技術革新に貢献してきた。以下、順不同で見ていくことにしよう。
Elon Musk氏はTeslaをひとりで創設したわけではなく、シリーズA投資ラウンドを主導したのちに取締役会長に就任した。だが、現在の最高経営責任者(CEO)である同氏がTeslaに与えた影響こそが、電気自動車に対する世間の見方をがらっと変えることになった。今や、人々がTeslaの車を求めるのは、環境に良さそうだからという理由ではない。ご近所がみんな買っているからなのだ。
Musk氏とTeslaが今回のリストに名を連ねるのには、もうひとつの理由がある。従来よりも堅牢な運転支援システムを市場に送り出したことだ。運転支援システム「Autopilot」の機能は、登場以来大幅に進化し、新しい機能も加わっており、車種によっては、無線による簡単なソフトウェアアップデート(詳細は後述)でその機能を導入できる。Autopilotにしろ、無人の自動車をユーザーのいる場所まで自走させる「Smart Summon」にしろ、こうした技術は、たとえ不完全だとしても、車の運転に影響を与えている。
Teslaは、順調なスタートを切るうえで、それなりの問題を抱えていたこともあり、年間で7桁の販売台数を誇るトヨタやVolkswagenのような超大手が支配する業界のなかでは、まだ比較的弱小だが、Teslaが作り出した文化的な変化が持つ意味は、やはり大きい。
Uberの創業は2000年代の終わりだが、サービス自体が始まったのは2010年に入ってからだった。この野心的なスタートアップが今回のリストに名を連ねるにふさわしい理由はさまざまだ。何よりもまず、多くの企業を競争に参入させた配車サービスが挙げられる。起業家や既存の企業も参入し、その一部(Lyftなど)は、配車サービス元祖のUberと並んで主要企業となった。
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