没入感が高い仮想現実(VR)ヘッドセット対応ゲームのなかでも、体の動きをVR空間での移動に反映させるタイプのゲームは臨場感がとりわけ高い。しかし、同じ方向へ移動し続けると、部屋のなかでは物や壁にぶつかって危険だ。そこで、体を天井から吊るデバイス、移動せず歩く動作を入力できるサンダル、移動したら元の場所へ引き戻される技術などの対策が考案されている。
これに対し、Microsoft傘下の特許管理会社Microsoft Technology Licensing(MTL)は、VRコンテンツ使用時に移動可能な現実空間の範囲を制限する技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間10月3日に「VIRTUAL REALITY FLOOR MAT ACTIVITY REGION」(公開特許番号「US 2019/0302879 A1」)として公開された。出願日は2018年4月2日。
この特許は、VRコンテンツを利用するシステムにおいて、専用のフロアマットを敷いておき、移動可能な範囲を設定する技術を説明したもの。マットにはマーカーが印刷されるなどしており、カメラのような光学センサーで得た画像を解析することで、マットの敷かれた領域を認識できる仕組みだ。さらに、この画像から、周囲にある物体の存在や位置も把握できる。第1クレーム(請求項)には、こうした情報にもとづき、VRコンテンツに何らかの動作をさせる、と記されている。
ほかの請求項には、マットに組み込まれた圧力センサーから得る情報でユーザーやその他物体の位置を認識するアイデアや、マット内のバイブレーターでユーザーに振動を伝えるアイデアがある。こうした仕組みにより、マットから出そうになったり、何かに衝突しそうになったりしたときに、ユーザーに何らかの方法で警告できる。また、ユーザーや物体の位置とVR空間を関連させたコンテンツも開発可能だ。
周辺の画像を得る光学センサーとしては、VRゴーグルに搭載されたカメラのほか、同じ部屋に離れて置かれたカメラを使うことが考えられる。ユーザーに警告などの情報を伝える手段としては、マットを振動させるだけでなく、VRゴーグル経由で音、映像、振動を送る方法もある。
なお、特許とは、技術的アイデアの権利保護を目的とした公的文書である。登録されて成立しても、実際の製品やサービスで利用されるとは限らない。さらに、アイデアの存在を公知の事実にする目的で出願され、登録に至らず公開止まりになるものも少なくない。
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