ベンチャーキャピタルのCoral Capitalは4月30日、スタートアップ界を定点観測した「JAPAN STARTUP LANDSCAPE」を公開した。調査は、2018年10月〜2019年3月に実施され、匿名の投資家や起業家の有志273人が参加した。資金調達やスタートアップ経営における困難な要素をまとめている。
調査に参加した起業家の年齢は「30〜35歳」が最も多く、起業してからの年数は「1年未満」が最多となっている。
社内政治において誰が一番権力を持っているかという質問には、86%と9割近くが「役員」と回答。共同創業者との関係については「ベストフレンド」(33%)と「ビジネスライクな関係」(23%)が多かった。
直近の資金調達にかかった時間は「1ヶ月未満」が最も多く、それに「3ヶ月」が続く。直近の調達額が、自分の予想を超える金額だったと回答した人は22%だった。
また、約半数(47%)が前回のラウンドに比べて、次の資金調達は難しいと考えているようだ。
過去2〜3年で、投資家と起業家のどちらの交渉力が大きくなったと思うかという質問には、約7割(69%)が「起業家」と答えた。また、リードインベスターを決めるうえで大事な要素としては「経験・実績」「投資案件」「人脈・ネットワーク」「カルチャーフィット」などが挙がり、逆に「長期投資してくれるか」「ブランド」「サポートサービス」などはそこまで重視していないことがわかった。
今後3年間でスタートアップのIPOは増えるかという質問には、47%が「増える」、31%が「変わらない」、22%が「減る」と答えた。また、M&A案件が増えるかとの質問には、85%が「増える」と答えた。
この結果に対して、Coral Capital創業パートナーの澤山陽平氏は、「これまでスタートアップ起業家というと、20代前半の若者が中心のイメージが強かったかもしれないが、今回の年齢層の結果を見ると30〜35歳が最も多く、経験豊富でシニアな起業家も含め、起業家の層が厚くなってきている良い兆しが現れていると思っている。また、起業家と投資家のパワーバランスに関しても、過去の2〜3年で起業家の交渉力が強くなったと答えている起業家が7割近くになっており、VCが増えたことでより起業家にとって良い環境になってきていると感じる。逆に、今後VCはこれまで以上に競争が激しくなるため、より起業家に選ばれるための努力をする必要があると考えている」とコメントしている。
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