米連邦裁判所は米国時間3月15日、AppleがQualcommの特許3件を侵害しており、損害賠償として3100万ドル(約34億6000万円)を支払うべきだとする判決を下した。両社は4月に別の訴訟の審理を控えており、今回の判決はQualcommに弾みをつける格好となった。
Qualcommは2017年7月、Appleが高い人気を誇る「iPhone」の複数のバージョンでQualcommの技術を許可なく使用しているとして訴訟を起こした。サンディエゴで行われた2週間にわたる陪審裁判で、陪審はQualcommが要求していた賠償額を満額で認めた。
今回の訴訟の争点となったのは、QualcommがAppleに侵害されたと主張する3件の特許だ。電源を入れた後、スマートフォンが瞬時にインターネットに接続することを可能にする特許、グラフィック処理とバッテリ持続時間に関連する特許、アプリプロセッサとモデムの間のトラフィックを整理することで、スマートフォンのアプリがデータをより簡単にダウンロードすることを可能にする特許だ。
2018年に一時時価総額1兆ドルを達成したAppleにしてみれば、賠償金3100万ドル(1台あたり最大1.41ドル)はわずかな額かもしれない。だが、今回の裁定はQualcommにとって重要な勝利であり、モバイル構成部品のイノベーターとしての名声を高めるものだ。この勝利はまた、Qualcommによる革新の多くがiPhoneに反映されているとの意見に信頼性を加えるものでもある。
今回の評決は、4月にサンディエゴで予定されている、大いに注目される両社の裁判にも影響する。QualcommがAppleに課す特許料をめぐるこの裁判は、数十億ドル規模の賠償金を争うもので、両社が広範にわたって繰り広げてきた法廷闘争におけるクライマックスとなる。
AppleとQualcommの対立は2年前に始まった。当時、米連邦取引委員会(FTC)はAppleとIntelの協力を得て、Qualcommがモデムチップ分野において独占的な力を行使しているとして訴えた。FTCは、Qualcommのロイヤルティ料率によって、競合他社のモデムチップ市場への参入が阻害され、スマートフォンの価格が押し上げられていると主張した。この裁判は1月に開廷され、両社は現在判決を待っているところだ。
4月の裁判では、Qualcommのライセンシング事業も審理の対象になる。
3月15日に評決された今回の特許裁判は、比較的テクニカルな内容で、係争中の他の部分よりも注目度は低い。それでも、今後どのようにしてスマートフォンが作られ、いくらの費用がかかるのかについて、影響を及ぼす可能性がある。
Qualcommの法務顧問Don Rosenberg氏は、今回の判決を称賛した。
「今回の満場一致の陪審員評決は、当社の世界規模の特許訴訟における最新の勝利であり、当社の価値ある技術に対価を支払うことなく使用したAppleに責任があることを認めるものだ。(中略)Qualcommと他社が発明した技術のおかげで、Appleは市場に参入し短期間で大成功を収めることができた」(Rosenberg氏)
Appleは、評決に「失望した」と述べた。
「Qualcommが特許侵害を主張して展開しているキャンペーンは、米連邦裁判所および世界各国におけるQualcommの商慣行に対する調査という、より大きな問題から注意をそらすものにすぎない」(Apple)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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