折りたたみスマホ「Galaxy Z Flip」、次期モデルに期待したい5つの進化

Lisa Eadicicco (CNET News) 翻訳校正: 石橋啓一郎2024年04月30日 07時30分

 広々としたカバーディスプレイを持ち、従来のモデルよりも作りが洗練された「Galaxy Z Flip5」は、サムスンが作る折りたたみスマートフォンの転換点となった。しかし、「Galaxy Z Flip6」という名称になるであろう次期モデルで改善できそうな点はまだまだある。

テント状の形に置いたGalaxy Z Flip 5の写真
サムスンのGalaxy Z Flip 5
提供:Rich Peterson/CNET

 サムスンの折りたたみスマートフォンは、2020年に発売された初代「Galaxy Z Flip」以降、大きな進化を遂げてきた。しかし筆者は、Z Flip6に対して、さらに長いバッテリー駆動時間や、Galaxy Sシリーズと同水準のもっと良いカメラを期待している。しかしおそらく、最も重要なのはソフトウェアの改善だろう。Galaxy Z Flip5のカバーディスプレイに、一目で情報が読み取れるウィジェット的なインターフェースや通常のアプリが使える能力が備わったことは有望な進歩だった。

 しかし、Z Flipのためだけに設計された機能を増やすことで、ソフトウェアを使ったときの体験をさらに高めることができるはずだ。それに加えて、折り目をより目立たなくして、プロセッサーの更新のような一般的にスマートフォンに求められているアップグレードを着実に進めれば、他社のスマートフォンに優る製品になれる可能性がある。

 サムスンは例年、新型の折りたたみスマートフォンを毎年夏に開催している「Unpacked」イベントで発表しており、2024年もそのタイミングで次期モデルを発表する可能性が高い。この記事では、Galaxy Z Flip6を他とは一線を画す製品にするために改善すべきだと思われる点を挙げていく。

独創的で実際に役に立つソフトウェアの機能

Galaxy Z Flip5のカバーディスプレイに天気予報アプリが表示されているところ
Galaxy Z Flip5のカバーディスプレイに天気予報アプリが表示されているところ。
提供:Lisa Eadicicco/CNET

 折りたたみスマートフォンにはハードウェアだけでなくソフトウェアも重要だが、サムスンがそれを理解していることは明らかだ。それは、端末を一定の角度まで曲げるとアプリが画面の上下で分割される「フレックスモード」が、Galaxy Z Flipシリーズに最初から搭載されていたことからも分かる。Z Flipのソフトウェアにできることはその後も徐々に増えてきた。

 例えば2022年には、フレックスモード中に画面の下半分をタッチパッドとして使えるようになり、操作が簡単になった。また2023年には、カバーディスプレイが従来よりずっと大きくなり、閉じた状態での使い勝手が大きく改善された。

 これらの機能が追加されたのは確かに良いことだったし、大型のカバーディスプレイは半分に折りたためるスマートフォンの存在意義を高めた。しかし全体的に見れば、Z Flipのソフトウェアにはもっとできることがたくさんあるはずだ。フレックスモードを使えば、Z Flipを半分まで折り曲げた状態で通常とは違った形でアプリが使えるが、それだけではわざわざ折りたたみスマートフォンを買うべき理由にはならない。

 筆者はまだ、サムスンがZ Flipのソフトウェアで何をすべきかについての答えを持っていない。しかし今のサムスンは、AI機能群「Galaxy AI」の登場を受けて従来よりもソフトウェアに力を入れていると思われるため、チャンスは十分にある。

 サムスンは、Galaxy AIに「Galaxy S24 Ultra」専用の機能を作らなかったことでチャンスを逸したと、筆者は考えている。例えば、「Sペン」を利用する機能があってもよかったのではないだろうか。折りたたみスマートフォンにも同じことが言える。Z Flipにしかない折りたたみ式のディスプレイに特化したGalaxy AIの機能があれば、MotorolaやOPPOなどとの競争が激しくなる中で、この機種を際立たせる材料になる。

 実際、サムスンのモバイルエクスペリエンス事業部でエグゼクティブバイスプレジデント兼研究開発局の責任者を務めるWon-Joon Choi氏は、将来Galaxy AIの一部の機能を、デバイスに応じてカスタマイズする可能性があるとほのめかしている。

 同氏は1月のインタビューで、「(Galaxy AIを折りたたみスマートフォンでも)使えるようにするだけでなく、折りたためるという特徴に合わせて体験を最適化したい」と述べていた。「ただコピー&ペーストするのではなく、折りたたみ式ならではの体験の提供を目指す」

カバーディスプレイで文章を入力している写真
Galaxy Z Flip5のカバーディスプレイは、物事を大きく変える要素だ。Galaxy Z Flip6では、もっと便利に使えるようになることを期待したい。
提供:Lisa Eadicicco/CNET

 もちろん、カバーディスプレイの機能をもっと増やすこともできるだろう。Galaxy Z Flip5のカバーディスプレイでは、すべてのアプリがそのまま使えるわけではない。また、Motorolaの「razr+」とは違って、メイン画面を閉じた後で、カバーディスプレイで作業が続けられるわけでもない。

 サムスンがそれをやらない理由は理解できる。スマートフォンを閉じたら、そのアプリはとりあえず使い終わったはずだと考えるのは妥当だろう。しかしせめて、razr+でできるように、アプリのアイコンをタップすると終了したところから作業を再開できるようにしてくれれば嬉しかった。

 サムスンが、カバーディスプレイを標準サイズのディスプレイの単なる縮小版にしなかったことは評価できる。しかし、Galaxy Z Flip5で提供されている機能は、手のひらに乗るポケットサイズの第2の画面に期待できることの氷山の一角にすぎないように感じる。

カメラの強化

Galaxy Z Flip5で写真を撮影している場面
Galaxy Z Flip5のカメラは高性能なのだが、Z Flip6ではもっと大きな強化を期待したい。
提供:Amy Kim/CNET

 サムスンの折りたたみスマートフォンのカメラが最高水準とは言えないのは知っての通りだ。しかし、この状況は変わるべきだろう。例えば、現行のZ Flip5に搭載されているのは1200万画素の広角カメラと超広角カメラだが、「Galaxy S24」や「S24+」には5000万画素の高解像度メインカメラが搭載されている。

 サムスンが写真重視のユーザー向けに売り込んでいるGalaxy S24 Ultraと同レベルのカメラを載せろとまでは言わない。しかし少なくとも、Z Flip6では、Galaxy S24と同水準のカメラを採用すべきだ。

 うわさが正しければ、サムスンは実際にそのつもりなのかもしれない。ブログサイトである「Galaxy Club」では、次のFlip Zに5000万画素のカメラが搭載されると報じている。カメラの良し悪しが折りたたみスマートフォンの購入を左右する一番の理由になることはないだろうが、Galaxy Z Flip5のような1000ドルクラスのスマートフォンには、他のハイエンドスマートフォンに匹敵するカメラが搭載されているべきだ。

折り目を目立たなくする

Galaxy Z Flip5を半分折り曲げて使用しているところ
サムスンはこれまで同社の折りたたみスマートフォンのデザインに多くの改良を加えてきた。次は折り目をもっと目立たなくしてほしい。
提供:Amy Kim/CNET

 Galaxy Z Flipシリーズのデザインは年々確実に進化しており、良くなっている。例えば、2023年のZ Flip5では新しいヒンジが採用され、隙間なく完全に平らに折りたためるようになった。またZ Flip4では、外側に「Corning Gorilla Glass Victus+」が採用され耐久性が高まった。

 しかし、ディスプレイの真ん中に走る折り目についてはあまり変化がない。Z Flip5の折り目に触れてみると、Z Flip4よりは若干平らに感じるが、いまだに非常に目立っている。もちろん、折り目を完全になくすのはエンジニアリング的に大変なことだろうし、サムスンはそのためにZ Flipの価格を上げたいとは思わないだろう。しかし、Sareena Dayaram記者が「OPPO Find N3 Flip」のレビュー記事で書いているように、OPPOなどの企業はこの方向で進歩を見せている。Dayaram記者は、一見しただけでは画面の折り目に気づかず、折り目を見つけるためには、そのスマートフォンを特定の角度に傾けて見る必要があったほどだ。

ソフトウェアのサポート期間の延長

Galaxy S24の写真
Galaxy S24ではOSのアップデートを7年間受けられることになった。Galaxy Z Flip6にも同じことを期待したい。
提供:James Martin/CNET

 サムスンは、Galaxy S24シリーズでソフトウェアサポートの水準を高めた。S24の3モデルでは、Googleが「Pixel 8」シリーズで採用した方針に倣って、7世代分のOSのアップデートを受けることができる。最近までのGalaxy SシリーズやGalaxy Zシリーズで提供されていたサポート期間は4年間であるため、期間が3年も延長されたことになる。

 Galaxy Z Flip6でも同じアプローチを取り、ソフトウェアのアップグレードに7年間対応すべきだ。1000ドル以上もするスマートフォンはできるだけ長く使えるべきであり、ソフトウェアのサポート期間は、それを実現するための重要な要素だ。幸いなことに、サムスンは通常、Galaxy SシリーズとGalaxy Zシリーズで同じサポートサイクルを採用するため、Z Flip6でも同じ7年間のアップグレードサイクルが採用される可能性が高い。

Galaxy S24に匹敵するバッテリー駆動時間

Galaxy S24+の充電ポートの写真
Galaxy S24+のバッテリーは大容量で、充電のためにケーブルに接続しなければならないことも減る。Galaxy Z Flip6にもバッテリー駆動時間の改善を期待したい。
提供:James Martin/CNET

 Galaxy S24とS24+には従来よりも容量が大きいバッテリーが搭載されたが、Galaxy Z Flip6にも同じことを期待したい。Z Flipシリーズのバッテリー容量は、Z Flip4から変わっていない(Z Flip4では、Z Flip3の3300mAhから3700mAhに増えた)。

 Galaxy Z Flip5のバッテリー駆動時間は1日だけ使うには十分だが、駆動時間は長いに越したことはない。例えば、2023年の旅行中に筆者がこのモデルを試したときには、一日中写真を撮ったり、行き先を調べたりしたあとでも、バッテリーが25%から30%残っていた。これは非常に優秀な結果であり、Patrick Holland記者のレビュー記事を見る限りでは、S24のバッテリー駆動時間と比べても遜色のない水準だ。

 しかしHolland記者の使い方では、S24+は1回の充電で2日間使用できたという。Z Flip6でそこまで大きく改善されることはないとしても、バッテリー容量を増やすか、バッテリーの使用効率を改善するかして、多少はバッテリー駆動時間が延びることを期待したい。ただし、Z Flipには小型のディスプレイが1つ多く搭載されているため、バッテリー駆動時間を延ばすのは難しいのかもしれない。

 全体をまとめるとすれば、筆者は、カメラやバッテリー駆動時間の改善といった通常のアップグレードに加えて、Z Flip6だけの独創的な新機能が見られることを期待している。Galaxy Z Flip5は、現時点でも、市場に出回っている中で最高水準の(仮に「最高」ではないとしても)折りたたみスマートフォンの1つだ。次は、サムスンがそのリードを維持するために何をやってくるのかに期待したい。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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