Blizzard Entertainmentがリリースしている、オンライン戦略カードゲーム「ハースストーン」。同社は、米国に拠点を置くゲーム会社で、「ウォークラフト」や「ディアブロ」「オーバーウォッチ」などで広く知られている。
ハースストーンはウォークラフトシリーズの世界観をベースとした戦略カードゲームとして2014年にリリース。登録プレーヤー数は2017年4月時点で7000万人を突破。また大規模な世界大会も行われ、ネット配信による中継では190万人が同時視聴をしたという。
リリース当初は日本語化されていなかったが、それでも熱心なファンがプレイしており、2015年には日本語版をリリース。2017年には日本で初めての大型大会となる「Hearthstone Championship Tour Japan Major」も開催した。2018年には世界各地を巡る大型大会のハースストーン選手権ツアー(HCT)が日本での開催が決定。また、これまでは韓国に拠点を置いてアジア展開を進めていたが、あらたに日本にも拠点を設立。国内での普及をさらに加速していく構えだ。
この4月には新拡張パック「妖の森ウィッチウッド」をリリースした。それにあわせて開催した日本での発表イベントに、アートディレクターとして携わっているBen Thompson(ベン・トンプソン)氏と、ゲームデザイナーのStephen Chang(ステファン・チャン)氏が来日。特にチャン氏は、ハースストーンのストリーマー(ゲームプレイの配信者)かつプロゲーマーとして活動したのち、開発チームに加わった経歴を持っている。今回、本作の開発経緯をチャン氏とトンプソン氏に聞いた。
――ハースストーン開発の経緯を教えてください。
トンプソン氏 :社内にカードゲームを熱心に遊んでいるスタッフがとても多かったのです。これが一番の理由ですね。ただ、カードゲームは複雑になりがちで、ルールを覚えることにも時間がかかり、敷居が高いと感じられる部分がたくさんあります。それが戦略カードゲーム開発のインスピレーションにもなりました。できるだけルールを覚えやすくし、戦略性や楽しさを押し出せるかというところには配慮しました。また、PCだけではなくモバイルデバイスでも遊べる環境を提供することで、カジュアルユーザーにも楽しみやすい環境を整えました。
――なぜ世界中で受け入れられているのだと思いますか。
トンプソン氏 :さまざまな要因があって、ひとつではないので答えるのが難しいです。あるユーザーは戦略性に富んでいて、それでいてシンプルだという方もいますし、アート面や世界観に興味を持つ方もいます。振り返ってみて、実際にプレイするだけではなく、プレイしている様子を見るのが楽しいかどうかは留意していました。開発中でも、肩越しで見てるだけでも楽しめるかということは考えていました。
――昨今eスポーツが盛り上がりを見せていますが、どのようにとらえていますか。
チャン氏 :いい環境になっていると思います。ハースストーンのスキルを披露する場にもなりますし、それをいかんなく発揮できる世界大会の舞台も用意しています。観戦する場合でもターン制のゲームですから、じっくりとコメンテーターによる解説にも耳を傾けられます。次の一手を予想する楽しみもあるかと思います。
トンプソン氏 :肉体的なフィジカルスポーツでは、ある程度競技の順位は想像できますが、eスポーツ、とりわけハースストーンのようなタイトルはそこに左右されず、幅広い年齢層で同じ舞台で対戦できますし、誰でもチャンピオンになれるチャンスはあります。
――Blizzard Entertainmentには、eスポーツを扱う専門の部署があると伺ってます。
チャン氏 :はい。eスポーツタイトルのサポートする役割で、戦略やプログラム編成、イベントのオペレーションなども含めて担当しています。それだけBlizzard Entertainmentとしてもeスポーツに注力をしてますし、プレーヤーの醸成やコミュニティ形成でも重要だと考えています。eスポーツは、ハースストーンにおけるゲームプレイだけではなく、体験提供をするものととらえています。
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