「ハースストーン」のプロゲーマーから“中の人”に転身--ゲーム開発の経緯を聞く - (page 2)

ストリーマーとプロゲーマー活動における“時間のやりくり”という苦労

――チャンさんが、ストリーマーとプロゲーマーとして活動するようになった経緯を教えてください。

チャン氏 :私はもともとBlizzard Entertainmentに在籍していたことがあったのです。当時は仕事も充実していたのですが、よりゲーム作りのスキルなどを高めていきたいと思って離れました。そのあとハースストーンがリリースされて、自分自身のゲーム作りに生かすべくハースストーンをプレイして学ぼうとしたんです。

 プレイをしていくうちにのめり込んでいきましたし、友人もできました。そして大会に何度も出場をしたのですけど、初期のころですが、北米・タイ・中国が集まった大会の北米代表として参加して、優勝することができたんです。そのあと、ゲームプレイを参考にしたいから、ストリーミングをしてほしいという要望を受けるようになったのが経緯ですね。

――こうした活動の楽しさはどういったところにありましたか。

チャン氏 :やはりコミュニケーションです。自分がストリーミングを通じてゲームの解説するようになり、ハースストーンの面白さや、私自身の情熱を伝えることができた。それによってコミュニティもできまし、それが広まっていくことの喜びもありました。

――家族や友人など周囲の理解はありましたか。

チャン氏 :みんな理解してくれていて、前向きにとらえてくれていました。大会に参加する際には応援してくれましたし、好成績を残したときには取材されて取り上げられましたけど、その姿を喜んでくれていました。

――当時の苦労はどういったところにありますか。

チャン氏 :時間のやりくりですね。とてもあわただしい日々でした。当時は日中に在宅勤務をしていたのです。そのあとストリーミングを行って、さらに練習や友人とのプレイに時間を使ってました。合間には自分のゲーム作りをしていましたし、週末はおおむね大会に出向いています。

 当時を振り返って、やるべきことの優先順位をつけるのが難しかったです。大会が近づくと、そのための練習や準備が必要ですから、多くの時間が必要です。一方でストリーミング配信も、楽しみにしてくださっている方々がいますので休むわけにはいきません。時間が一番苦労したところですね。

ファンイベントでは、チャン氏自ら来場者と対戦する一幕も
ファンイベントでは、チャン氏自ら来場者と対戦する一幕も

――ハースストーン開発チームに参加した経緯を教えてください。

チャン氏 :活動をしているなかで、開発チームの席がひとつ空いたという話を聞き、採用に応募をして加入しました。ストリーマーやプロゲーマーとして活動したことが採用にもつながったし、大好きなハースストーンの仕事ができるようになったのはうれしいです。チーム全員がこのゲームを愛してますので、そのような環境で仕事ができるのは幸せです。

――当時の活動が生かせていると思うのは、どのようなところでしょうか。

チャン氏 :ストリーマーとしては、視聴しているみなさんの反応を見て、どういうことに興味や関心を持っているかを把握することができました。プロゲーマーとしては、カードやデッキの強さを評価したり、流行しているデッキの強みを把握し、その弱点を突くデッキはどういうものかを考えるなど、メタゲームに関する理解を深めていました。これらの経験を生かして、カードデザイン開発やカードバランス調整を行っています。

――2人から見て、日本市場をどのように見ていますか。

トンプソン氏 :Blizzard Entertainmentでは、基本的に物事をグローバルな視点から見ています。日本ではアナログとデジタル問わず、カードゲームが広く親しまれていることは知っています。ハースストーンにおいても、母国語で遊べるということはゲーム体験を大きく変えるものだと考えていますから、日本語化もしました。

 日本においてどのように受け入れられているか、どういうものに関心を持っているかは、我々としても注視しています。日本に来て、ファンとの対話を通じて得た意見や改善点などを、帰国後にフィードバックしていきます。

チャン氏 :日本のプレーヤーもレベルが上がっています。また日本においても大型大会を開催しますので、今まで以上に盛り上がっていくのではないかと思います。

――日本のプレーヤーについて特徴はありますか。

チャン氏 :多くのプレーヤーが、地域をまたがって対戦や交流をしているので、戦略は早い段階で共有されています。なので、プレーヤーの個性に特徴はあっても、戦略面で地域差はあまりないと思っていいです。

――今後の展開についてはいかがでしょうか。

トンプソン氏 :新カードや拡張パックの追加だけでは終わりません。今のところ、シングルプレーヤー向けのコンテンツも増やしていきたいと考えています。ハースストーンは対戦も魅力ですが、リリース当初から、あらゆるプレーヤーが自分のペースにあわせてプレイしていく環境を整えることが大事だと思っています。その目標に、さらに近づけていきたいです。

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