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広告の未来は「広告じゃない」--LINE法人ビジネスのキーマンに聞く - (page 2)

藤井涼 (編集部) 井口裕右2018年03月21日 08時00分
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広告の未来は「広告じゃない」--古い考えから脱皮を

――田端さんは以前から、ユーザーと広告の関係性を変えたいと話していましたが、LINE@やビジネスコネクトはそのひとつの形だと思います。一方で、LINE Ads Platformではブランド広告を推進していて、そこではマインドシェアの向上だけでなくその場で広告に興味を持ってもらうというアプローチが求められるのではないかと思います。これまでのLINEの企業アカウントに対する考え方を広告に当てはめていくと、どのような広告の在り方が考えられるのでしょうか。

葉村氏 : そこは、今後LINE Ads Platformが追求していく点だと思います。限られた広告枠、限られた広告フォーマットでのコミュニケーションにはなりますが、たとえば動画広告でテレビCMと同じ素材を使えば良いのかというと、そうではないと思います。LINE Ads Platformだからこそできる広告表現や広告手法はあると思うのです。そこは、LINE、広告代理店、広告主が一緒に考えながら進めていく点だと思います。

 加えて、LINEとしては広告の受け手であるユーザーのコンテキスト=時間や場所、ユーザーのバックグラウンドや今の状況を理解して、今のユーザーに最適な広告を届けるという点で、さまざまな工夫ができるのではないかと考えています。ユーザーと広告のレリバンシーを高めることで、ユーザーにとっては広告が新たな気づきにつながるのです。そうした方向性で試行錯誤しながら技術を追求していきたいですね。


田端氏 : LINE Ads Platformは動画を観たりランディングページに送客したりといった基本的なことはできますが、広告主はそこで見込み顧客のリードやコンバージョンが欲しいわけです。ユーザーはスマートフォンで広告に触れるわけだから、広告を開いたらそこですぐにお店の予約ができたり、保険や住宅ローンの相談ができたりしてもいい。動画を見せるにしても、ただ見せて終わるのではなく、動画を視聴したあとに「どうでしたか?」とフィードバックを得るような仕組み。広告するのではなく接客するという視点でコミュニケーションを生み出していくと、購買ファネルを一気通貫でフォローできる仕組みが生み出せるのではないでしょうか。

葉村氏 : これまでは、企業が生活者一人ひとりに直接営業ができないから、その代わりとして広告によって情報発信をしてきたと思うのです。ですがモバイルの登場によって、企業から生活者のそばに直接行けるという環境が実現しましたよね。擬似的なFace to Faceのコミュニケーションができる環境が整ったと言えるのですが、実はその環境を上手く活用している広告主は少ないと思うのです。今までの広告の在り方に引っ張られすぎてしまっている。そうではなく、「ユーザーの手元に出張店舗を出している」と捉えたほうがいいのではないでしょうか。モバイルの広告コミュニケーションを上手にやっているのは、実はコンビニチェーンなど実店舗を持っている企業で、それは“顧客に対するホスピタリティはなにか”を理解しているからだと思います。

 今までの広告は、街頭でビラを撒くのと一緒。配る人が美人やイケメンだったら(=クリエイティブが視聴者に受け入れられたら)回収率が良くなって、立っていた場所(広告を掲載したメディア)で効果に一喜一憂する。そうした感覚しかないのではないでしょうか。旧態依然とした広告の考え方から早く脱皮する必要があるのです。LINEはこれまでもそうした視点で広告を考えてきましたし、これからも続けていきたいと思います。

――以前のインタビューで、田端さんはIoTによるコミュニケーションの変化を今後のテーマに挙げていました。未来の広告はどのようになっていくと考えますか。

葉村氏 : “広告の未来は広告じゃない”と言えるかもしれません。広告は、企業にとっては仕方がないからやってきたことなのです。それしか消費者にアプローチする方法がないから。しかし、IoTなどテクノロジの発展によって、Amazonダッシュボタンのように生活者の手元に企業とつながるインターフェースが置けて、将来はそのゴールデンゾーンの取り合いが大きなテーマになるかもしれません。また、生活者が困ったときにスマートスピーカーに相談すれば、それに企業が答えてそこから購買行動が生まれるといったシーンもあるかもしれません。

 IoTによって、企業は生活者のすぐそばに行くことができ、そこで生活者が何をしているのかを理解することができる。その上で企業と生活者が直接やりとりできるようになれば、コミュニケーションの在り方が大きく変わるのではないでしょうか。今はスマートフォンがバーチャルな出張店舗ですが、IoT機器が増えていけばその店舗が生活のさまざまなシーンに寄り添うような世界が待っているかもしれません。

田端氏 :消費者にとって価値のない商品やサービスは広告予算をどれだけ投下しても売れません。一方で消費者にとって価値の高い商品やサービスは、広告予算を一切投下しなくても、豊富にある接点をフル活用してコミュニケーションを生み出すことができる。そういう時代になっていると思います。


 たとえば、「ZOZOSUIT」(ZOZO TOWNの採寸ボディースーツ)。商品は無料で送料だけで販売していますよね。ただ、価格は無料ですが当然原価は発生しています。その差額は、私の印象では広告費であり、消費者との接点を構築するための必要経費なのです。従来の広告の考えであれば広告費にはならないと思いますが、本質的にはこれも広告だと言えるのです。広告の本質的なものは変わらなくても、それに対するアプローチの仕方は変わってくるのではないでしょうか。

葉村氏 : 大事なのは、従来の広告の考え方から早く逃れたほうが良いということです。たとえば、紳士服のチェーンがあって、そこで採寸をして、カルテを作成して、チェーン店の本部にデータが集約されているとする。そのプロセスが今の時代はIoTがやってくれるわけです。人がしなくても良いものは、すべてテクノロジに置き換わっていると思ったほうが良い。

 その中で、どうやって自社の商品やサービスに振り向いてもらうのか、商品を買ってもらうのか、ロイヤルカスタマーになってもらうのか。そう考えると、今の広告で行われているほとんどのことは間違いだと言えるでしょう。そこに気づくまでには、まだ少し時間が掛かるように感じますし、マーケティングの現場ではCPAはどうだったのかという点にしか興味が向いていない。少しずつ変わっていく必要があると思います。

エコシステムを一本化して、プロダクト全体を盛り上げる

――最後に、2018年度以降のLINEの法人ビジネスに関して、展望を聞かせてください。

葉村氏 :ひとつは、企業向けアカウントがLINEならではの価値だと思います。それを大手企業から中小企業までそれぞれの立場で活用できるような仕組みを作っていきたいという考えで、プラットフォームのリニューアルを含めて2018年内を目処に改善をしていきたいと考えています。

 また、LINE Ads Platformに関しては、ターゲティングや広告フォーマットのバリエーションや課金モデルの拡充を推進していきたいですね。2017年にはマーケティングソリューションを持つ企業とパートナーシップを結んで広告主を支援していく「Marketing Partner Program」を開始しました。LINEのパートナーエコシステムに関しては、2018年度はLINE Ads Platformに関するものとサービス開発に関するものを一本化していきたいと考えています。

 パートナー企業が持っている強みを、(1)販売力のある企業であること、(2)ソリューションの企画・開発・運用が優れていること、(3)ソリューションやサービスを高度化できる可能性を持っていること、という3つに分類して再整備したいと思います。これにより、LINE全体のプロダクトやビジネスソリューションを盛り上げていくエコシステムができるのではないかと考えています。


 一方、店舗販売されているナショナルブランド製品の販売促進活動では、多額の流通販促費が投入されて店舗の売り場を獲得していくといった商慣習があります。そうしたスキームにユーザーも参加してベネフォットを享受でき、流通サイドやメーカーサイドも低コストでスピーディにデータに基づいた販売促進のPDCA運用ができるという「LINE SP Solutions」を2017年10月にローンチしており、こちらもサービスを拡充していきたいと考えています。

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