この成果は、細かい施策の積み重ねでもある。たとえば、お金のデザインからユーザーに書類を郵送する際は、合わせてメールでも「本日送りました」「そろそろ届きます」「(郵便局での)保存期限間近です」という内容を配信する。またユーザーから「郵便物が届いていない」という問い合わせが来るのを見越して、メール文中に配送状況確認サイトへのURLを貼り込んでおく。これによって郵便物の受取率が90%から97%へと改善した。
また、手続きに必要なマイナンバーについて、ユーザーがそもそも認知していなかったり、通知カードを紛失していたりするケースもある。この場合は「住民票に番号が記載されています」などと知らせる。同様に、手続きがどこで止まっているかを運営側が把握できるので、その状況に合わせたアンケートメールを自動で送り、対応することも可能だ。
森山氏は講演のまとめとして「顧客一人一人と向き合うこと、かつ全体を捉えること、その両方のバランスが大事」と語る。コールセンターには「マイナンバーカードがどこにあるかわかりません」といった直接の顧客の声が日々届く。これらは「定性」の情報であり、顧客一人一人と向き合ってこそ得られる。
一方で「郵送した書類の受取率は○○%」のような「定量」情報もある。こちらは顧客全体の傾向を捉えるために重要な指標だ。
森山氏は定性・定量どちらかの情報だけを重視するのではなく、どう組み合わせるかを考えなければならないと指摘する。「カスタマーサポートの視点では、顧客の状況を思い描き、どうメッセージを届けるか考える。一方でマーケティングは、顧客全体に届くメッセージを考える。MAツールならば、一人一人に届くメッセージを作りつつ、それを全体に届けられる」と語った。
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