――マクアケにお聞きしますが、成功しやすい、あるいはそうでないプロジェクトの傾向はありますか?
木内氏:かなり明快にある成功するパターンは、その作り手の企画者なりプロジェクトメンバーに「この製品を買いますか?」と聞いたとき、「え、これ絶対買うでしょ」あるいは「私、ぼくは買います」と即答で返ってくる場合はそんなに外さないんですね。失敗しやすいのは、同様に聞いたときに、なぜかシーンとなるパターンです。――企画者やプロジェクトメンバーで、即答できないことがあるのですね。
木内氏:むしろ答えられないことのほうが多いですね。「なんとなくのターゲットユーザーがいて、なんとなくこういうこと思っている人が買うんじゃない?」みたいなのは、まあ失敗します。これを出しても意味がないのでやめましょう、というようなことをグリグリとやっていくんです。これが多くの共通項ですね。作り手が買わないのに、ユーザーが買うだろうというのは失礼だなと。僕たちはピュアにいかないとユーザーは簡単におサイフを開かないといことが分かっているので。
亀田氏:コンタクトして最初にお話をしたときに、この話を聞きました。クラウドファンディングにかければどれでも成功するというわけではないですからね、と。やっぱりちゃんと売れると思った商品じゃないとダメですよ、ということは教えていただきましたし、そうだろうなと思います。――成功しやすいジャンルの傾向はありますか?
木内氏:こうしたガジェットは話題になりやすいですし、お金も集まりやすいですね。最近では、研究開発テーマなどが企業にあって、その出口としてクラウドファンディングで商品化をするといったことがあります。たとえばこの商品の背景にある技術とか。何によって実現されているかというところにフォーカスがあたって話題になることが増えていますね。日本は研究開発投資が世界3位で、いろいろやっている中でも世に生まれ出ていないものがたくさんあるなと思っているんです。
クラウドファンディングを出口戦略にすると、背景にある技術に目が向き、おもしろいと言って買ってくださるパターンが少しずつ増えています。大企業じゃなくてもいいんです。たとえば、中小企業の金型加工に強いところで、この商品技術が成り立っているのはこの加工技術があるから──というような注目点があると売れる。
――背景を知ると応援したくなる気持ちになることがありますね。
亀田氏:Makuakeのページを拝見すると、この商品を当社で扱われてもらえないかな、と思うものもあります。キングジムのブランドを使うかはともかく、当社の持っている販売ルートを使えばもっと売れるんじゃないかと。ネットだと、販路はダイレクトにお届けすればいいけれど、文具流通は昔からのお付き合いがあるので、そこにポンと入ってこられるかというとそうではない。キングジムの大半の商品は自社開発・自社ブランドですが、他社の商品でも当社の流通に適しているのにその販路をお持ちではないようなものがあれば、扱わせてもらうこともあるんです。
扱わせてもらう商品は、明快な基準があるわけじゃなくて、キングジムのトップページに新製品が並んでいて、ここに並べておかしくないかどうか、という話をしているんです。
木内氏:さっそく相談したいことがいくつかあります。クラウドファンディングだけうまくいっても事業として成功しなかったら意味がないと思っているのです。Makuakeのプロジェクトの後の事業成長にもかなり意識を向けています。Makuakeを機軸にして販路が展開し、事業として成立していく、というのを作りたいと思っているんです。全国のメーカーさんに、もう販路やPRのやり方がわからなくても、チャレンジすればそのあと広がっていく環境もできているので、ユーザーのほうを向いて商品を作る、そこにチャレンジしようよということをお伝えしたいですね。
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