キングジムが、「トレネ」でクラウドファンディングに取り組み分かったこと - (page 2)

坂本純子 (編集部)2017年12月11日 09時00分

99人が反対しても1人がすごく欲しければ、数は集まる

――数あるクラウドファンディングの中で、Makuakeを選んだ理由は?

渡部氏:デジタル商品のクラウドファンディング実績が多く、こういったキングジムが出しているようなガジェットに対しても敏感に反応してくれるサポーターがついているのではないかと思ったからです。

--通常の発表と、クラウドファンディングでのリリースとの違いはどんなところにありますか?

渡部氏:通常は製品発売後にユーザーからの改善要望などを受けてバージョンアップなどするところを、発売前に製品仕様に反映できないかという試みをしています。

 一番大きな変更はAndroid対応です。当初はiOSだけに対応する前提で開発を進めていましたが、サポーターの方々からの要望が多かったんです。TwitterでもかなりAndroidに対応してほしいという話が多くて。「まあやっぱり」というところではあるのですが、多くの方が望まれているのかなということで、Androidの開発もすることになりました。

木内氏:Makuakeは、応援コメントを押すと、支援した方々がコメントができるようになっています。コメントは実際に購入している人しかできないので、実際に反映するかはさておき、聞くべき有効な意見だと思っています。

共感や要望など、さまざまなコメントが書き込まれている。コメントできるのは支払った支援者のみだ
共感や要望など、さまざまなコメントが書き込まれている。コメントできるのは支払った支援者のみだ
亀田氏:一般的な話ですが、商品を紹介したときに否定的な意見を言われる方がいます。「あ、何々がついていないんだ。じゃあいらないや」と。その場を離れるために否定的なことを言うことがある。そうすると、その説明を逃れたいから言っているだけのコメントでも、こちらはその機能が必要なのかな、と思ってしまうわけですね。

 支援金を払うかどうかは高いハードルだと思っています。ですから、支援金を払った方たちの意見であるMakuakeのコメントは本気なんですよ。そういう意味では、今までは正式に発売した後にしかいただけなかったコメントだと思います。

渡部氏:開発者として見ると、わくわくするポジティブな意見が多いですね。これらを参考にすると、本当にユーザーが欲しいものを提供できるのではないかなと思っています。

――クラウドファンディングによって、製品開発の過程が変わってくるのかもしれませんね。

亀田氏:社内の会議で商品企画が通るか通らないかという段階で、まずMakuakeで確認しませんか、となると開発の過程が大きく変わってきますね。

木内氏:実際にどうしたらそれが実現できるかな、と話している会社はあります。難しいのは値付けのところで、プロトタイプを作るなどしないと、適正な値付けがしにくい。その壁をどうするかというところです。

 何十社と一緒にプロジェクトを組んでみて思うのは、クラウドファンディングは“メーカーが顧客を向いてモノをつくるための原点回帰促進ツール”なのではないかということです。

 やはりお金を出すというのはハードルが高いことです。買わないのにいろいろ言う人はたくさんいますが、お金を出したお客様の方向を向いて、フォーカスしてモノ作りができるというのは、メーカーとして本来あるべき姿ではないでしょうか。インターネットが普及したこの現代のための装置というと大げさですが、そういう側面があると思っているのです。

 日本の商品化がだんだん成熟してきて、万人に受けるのが難しいとした場合に、だいたい100人に1人が熱狂的に欲しいかどうかが大事です。たとえ、99人反対しても1人がすごく欲しいとなれば、(商品化することで)何千万、何百万は集まると思っているんです。

 そうすると、社内の会議が適正な意志決定の場なのかということです。せいぜい多くても20人の中で、全員がいらない言っても欲しい人がいるかもしれない。そのリトマス試験紙として、まずは世に問う。

 この企画は絶対に受けるはずだと、ピュアに作り手の思いを込めてリリースすることで、ノイズを省き、お客様の方向を向いて届けられる。仮に集まらなくても、先行予約販売にすることで売れないかもしれない在庫を抱えるリスクを下げられるのです。

「クラウドファンディングは“メーカーが顧客を向いてモノをつくるための原点回帰促進ツール”なのではないか」(木内氏)
「クラウドファンディングは“メーカーが顧客を向いてモノをつくるための原点回帰促進ツール”なのではないか」(木内氏)

――今回、目標金額は50万でしたが、どういう背景で決めたのでしょうか。

亀田氏:開発費はいくらですかといったら、この目標金額では全然合わない(笑)。今回は初めての試みだったため、目標金額はマクアケの担当の方からアドバイスをいただきながら決めました。

木内氏:ある程度、何日ぐらいでこの金額をいったら需要があると認められるという一定のしきい値を考慮して設定しました。あまり高額になると結構集まっていても集まっていないように見えてしまうので、過去の例も見ながら、数日間でこれぐらい達成できると“イケてるプロダクト”と言えるのではないかという設定です。

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