キングジムが、「トレネ」でクラウドファンディングに取り組み分かったこと - (page 3)

坂本純子 (編集部)2017年12月11日 09時00分

“どう見せたらどう伝わるか”を考える

――集まった金額は、約450万円、約700人のサポーターを得ています(12月6日現在)。この結果をどう見ていますか?

渡部氏:開発担当者としては、自分の企画が世に認められているなと感じています。トレネはまだ開発段階ですので、記事を書いてくれる記者の方も、私も完成品に触れたことがありません。その製品を使ってみたいとお金を出してもらえるのはすごいことだと思っていました。

 目標の達成は、想定していたよりも早かったですね。初日から3日ぐらいだったと思いますが、正直びっくりしています。

 この製品は、ひとりぼっちで外で仕事をする環境にいることが多かった自分の体験から、こうした商品がほしいなと思い作ったものです。それにこれだけの人が共感してくれて、一人じゃないと嬉しく思いました。本当に売れるのかな、支援してくれるかなとずっと不安でした。実は、“ぼっちアラーム”と呼んでいたんですよ。

約450万円の支援と、約700人のサポーターを得た(12月6日現在)
約450万円の支援と、約700人のサポーターを得た(12月6日現在)

 クラウドファンディングを始めたすぐ後に、中国の工場へ出張に行っていたのですが、クラウドファンディングの画面を見せて、「これだけ売れている、注文が入っている」と言うと、士気が上がっている状況は見受けられましたね。日本側の設計担当者も、「これはもう下手なことはできませんね」と、プレッシャーと共に士気も上がっているように思います。

 社内でも、特に営業はこれから売るものなので気にしているんですね。そうした人たちの反応や見方も変わっている気がします。仮に自身が製品のターゲットでなくとも売らなければならない人たちがいる。最初は「キワモノなんでしょ」とか「そんなにカフェで仕事をする人はいるの?」と言っていた人も、支援者による応援コメントを見ていくうちに、印象がよくなったとか、「早く売りたい」といったコメントをもらえるようになりました。

「実は、“ぼっちアラーム”と呼んでいたんです。これだけ共感してくれる人がいて、一人じゃないと嬉しく思いました」(渡部氏)
「実は、“ぼっちアラーム”と呼んでいたんです。これだけ共感してくれる人がいて、一人じゃないと嬉しく思いました」(渡部氏)

――プロジェクトを始めてみて、難しいと感じたことはありますか?

渡部氏:当初はこの商品をMakuakeに出すというスケジュールに入っていなかったので、なかなかサンプルの準備が追いつかなかったことですね。

 4フェーズぐらいサンプルの順番があるとしたら、1番目ぐらいの段階で話しが決まりました。まだプロトタイプの中のプロトタイプという段階で、プロジェクトとして掲載するために仕様を決めないといけない。

 どういう見せ方にするか。まだ仕様が曖昧な中で検討したり、今後どうなる予定だからこういう言葉がいいのではないかと、想像の中で考えたりしました。

――見せ方は、キングジムだけでなくマクアケと相談をして決めるのでしょうか。

渡部氏:もともとトレネは、置引防止アラーム「TRENE(トレネ)」という名前でした。Makuakeにプロダクトを出すことになってから相談した結果、見せ方を変えましょうと。そうして、荷物を見守る小さなパートナー「TRENE(トレネ)」に変えました。

 どうしたらうまく伝わるか、どうしたら欲しいと思ってもらえるのかについて、本当に鍛えてもらいましたね(笑)いつも以上にしっかり検討できたかなと担当者としては思っています。

亀田氏:開発の担当者は、商品のことをよく分かり過ぎてしまっているんですよ。ちょっと足りないな、という話をするのは、ユーザーコミュニケーションのところです。今みたいな話は、「どう見せたら、どう伝えれば商品のことを正しく分かってもらえるんだろう?」と問うと、「そんなの分かるに決まってるじゃないですか」と言われる。「分かんねぇんだよ、初めて見るんだから」というね(笑)。そこをマクアケに鍛えていただいたところはあると思うので、感謝しています。

 もしかすると流通の方々とこれぐらい濃密にコミュニケーションをすれば変わるかもしれないと思っているのですが、なかなかそうもいかない。われわれが取引をする問屋の先には販売店がいて、その先に実際のユーザーがいるので、なかなかユーザーに対してダイレクトに情報を伝えられません。その点、ユーザーとの間をダイレクトでつないでくれるMakuakeは今までになかったプラットフォームだと思います。

木内氏:インターネットやスマートフォンの普及によって、なにが起こっているかというと、ユーザーのほうが詳しかったり情報を持っていたりする。

 代理店がいるメーカーの場合、潮流としては代理店がメインなので、そちらの意見を聞くわけですが、お客様が実は代理店で、エンドユーザーではない場合があります。

 われわれはエンドユーザーしか向いていないですし、簡単に買ってくださらないということに毎日向き合っているので、ズバッと言わざると得ない。モノをつくるプロではありませんが、売るプロなので、サポートしながら一緒にやっていくのがおもしろいところです。

――この次の展開は決まっているのでしょうか?

亀田氏:まだ次は決まっていません。でも、ちょっと変わったステーショナリー類を「Makuakeでやってみる?」という声が出ていますね。

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