「Windows 10 Fall Creators Update」のロールアウト開始を受けて、Microsoftが1年近く前に先行披露した「Windows Mixed Reality」(WMR)対応ヘッドセットの出荷が始まった。
MicrosoftのPCメーカーパートナー各社が製造した新型ヘッドセットのデザインは、8月末にIFA Berlinで披露された。IFA Berlinは世界最大級の家電見本市だ。最も安いものはヘッドセット単体で299ドルだが、モーションコントローラも必要な人は、さらに100ドルを支払うことを覚悟しなければならない。
開始価格は競合製品より割安だが、WMRヘッドセットとコントローラのバンドル版は、現行の399ドル(日本価格税込5万円)の「Oculus Rift」バンドル版と同じか、それよりも高い。しかし、それでも599ドル(日本価格税込8万4110円)の「HTC Vive」よりは安く、超高性能のPCがなくても使用できる(必要なPCスペックの詳細については、本記事の終盤で紹介する)。
さらに、Oculus RiftやHTC Viveと違って、WMRヘッドセット(この名称の狙いは、拡張現実と仮想現実、その中間にあるあらゆるものを網羅することだ)は前部に搭載された一対のカメラと内蔵センサ群を使って、装着者の物理的な位置をマッピングする。インサイドアウトトラッキングと呼ばれるこの設計は、6自由度(6DOF)の位置トラッキングを実現する。外部センサを購入して専用のスペースに設置する必要はない。さらに、ほぼプラグアンドプレイ設計になっているので、ユーザーはおおむねどんな場所でも数分で使い始められる。
しかし、WMRヘッドセットはすべてMicrosoftの特定の要件を満たすように設計されているため、機種間に大きな違いはない。先行して発表された5種類のヘッドセットの基本スペックは同じだ。
続いて発表されたサムスンの「Odyssey」ヘッドセットは、ほかの機種と若干異なるスペックを採用しており、1440×1600ピクセルの有機ELディスプレイ(AMOLED)を搭載する。また、フリップアップ式を採用していない。それを除くと、少なくとも最初の製品群に関しては、違いは全体的なデザインだけのようだ。そして、そのデザインにも、それほど大きな違いがあるわけではない。
Acerのヘッドセットは、米CNETが4月にテストする機会を得た最初の製品だ。デベロッパーエディションの価格は299ドルだが、モーションコントローラは含まれていない。モーションコントローラが必要な人は、399.99ドルのバンドル版を購入する必要がある(日本版として「AH101」が発売された)。
本記事で紹介する5機種の中で、間違いなく最も興味深い外観のヘッドセットだ。ASUSによると、同社のデザイナーは、通常デジタル建築のデザインに使われるテクノロジを使用して、何百種類もの3Dポリゴンのパターンを作成したという。約400gと軽量で、装着者の鼻や頬に負担がかからないようにバランスがとられている。米国価格や日本での販売予定はまだ発表されていないが、欧州での販売価格は449ユーロ(約6万円相当)だ。高価だが、モーションコントローラも同梱されている。
Dellは、さまざまなユーザーが快適に装着し簡単に調節できるようにすることを目指して、このヘッドセットを設計した。後部のサムホイールを使えば、十分なクッションの入ったヘッドバンドを簡単に調節することができる。バランスが優れており、顔に当たるパッド部分もクッション性が高いため、装着者の鼻や頬に負担はかからない。汚れ防止コーティングが施されているので、友達や家族が使った後も、ヘッドセットをきれいに保つことができる。価格はヘッドセット単体が349.99ドル、コントローラを含むバンドル版が449.99ドルで、米国では既に販売が開始されている。
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