AppleのARはなぜ進んでいるのか?--Appleニュース一気読み

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 Appleは6月5日から開催したWWDC 2017で、最新のソフトウェア群を発表した。開発者向けには既にプレビュー版が公開されており、6月末には一般のユーザーに対しても、パブリックプレビュー版が公開された。

 Appleは次期iPhone・iPad向けのOSとして披露したiOS 11に、機械学習と拡張現実、という2つのテクノロジ業界でのトレンドを取り入れた。これらに共通している点は、その活用を開発者が考え、投資すること促している点だ。

 そして同じアプリが動作する環境としては、最大のものになった。Appleは機械学習については、最新のiOS 11をインストールできる環境、すなわちiPhone 5s以降のiPhoneでサポートするとしている。通信なしでデバイス内での機械学習モデルの活用は、開発者にとっての負担を軽減しながら、より賢いアプリを作り上げることが可能になる。

 また拡張現実については、A9を搭載するiPhone 6s以上、iPad Proシリーズのデバイスで利用できる。4インチのiPhone SEでも、ARアプリを動作させることができるのだ。

 iPhone 6sが2015年に発売されてから、その販売台数は既に数千万台以上に積み上がっているとみられる。これらのデバイスがARアプリをサポートするとなると、世界で20億台のアクティブデバイスがあるAndroidプラットホームよりも多くのデバイスが、ARアプリに対応することになるだろう。

 その点で、開発者がアプリ開発や投資をしやすいのが、Appleプラットホームの強みとなる。もう1つ、AppleがWWDC 2017でより明確にした点は、iPhone/iPadとMacの棲み分けだ。

 今回iPhoneの新モデルの発表は(当然ながら)なかったが、iPadは刷新された。またMacも刷新され、VR編集を快適に行えるiMacシリーズと、拡張グラフィックスを接続できるMacBook Proシリーズが発表された。

 これらの対比が顕著になったのは、Macは制作や開発の環境、iPhoneやiPadは活用やコンテンツ消費の環境、という棲み分けだ。

 Macに関する説明では、「確かにゲームは動くが……」と前を期した上で、あくまでVRについての開発環境として、その戦力を高めたという指摘があった。このアイデアは非常に冷静なものだ、と受け止められる。

 その理由は、機械学習やARにおけるAppleの強みと共通だ。Macの販売台数とiPhoneとiPadの販売台数は、四半期にもよるが15倍以上、iPhoneとiPadの方が多い。つまり販売台数が多いデバイスをアプリ活用やコンテンツ消費のプラットホームにした方が、開発者にとってのメリットは大きくなるのだ。

 そしてアプリに関しては、Macで開発し、iPhoneやiPadで利用する、というApp Storeのエコシステムが非常に上手く成立している。アプリで提供されることを考えると、ARについても同様だろう。

 そこから考えると、近い将来、iPhoneとiPadに、なんらかのVRに関連する機能が追加されてもおかしくない。Macで制作したVRとしてのコンテンツやアプリを消費するためのピースが、現在は欠けているというわけだ。

 Appleは、視線追跡や仮想現実ゴーグル技術を手がけるドイツのSensoMotoric Instrumentsの買収を認めている。どのようなスケジュールでこの企業買収が生かされるかは定かではないが、ターゲットとなるのは、スタンドアロンもしくはiPhoneやiPad向けのゴーグルになってくるのではないだろうか。

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iOS 11のパブリックベータ版が公開

 iPhone/iPad向けの最新OSとなる「iOS 11」のパブリックベータ版が公開された。ユーザーはベータ版配信サイト、beta.apple.com でApple IDを登録することで、最新のソフトウェアを試すことができる。

 ちなみに、まだ動作等が不完全だったり、対応しないアプリもあるため、自己責任かつ、メインのデバイスでは試さないことをおすすめする。

 iOS 11で強化されたポイントは、開発者向けには機械学習環境のCoreMLや拡張現実環境のARKitといったAPIだが、ユーザーにとってはSiriやカメラ機能、文脈追跡によるアシスタント機能などで、これら最新のAPIのApple流の生かし肩に触れることができるようになる。

 またインターフェース面では、ロック画面と通知画面の融合や、刷新されカスタマイズ可能となったコントロールセンター、iCloudの家族対応の強化、HomeKitのスピーカー対応と、AirPlay 2による複数スピーカの制御、などが挙げられる。

 AppleはiOS 11を秋に配信するとしており、最新型となるiPhone 8とともに、その配信日が公開されることになるだろう。

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