Appleは米国時間6月5日から9日にかけて開催の年次開発者会議「Worldwide Developers Conference」(WWDC)で、「Amazon Echo」スマートスピーカに対抗する待望の製品「HomePod」を披露した。Echoや「Google Home」と同様、HomePodも常時オンのスピーカであり、音楽再生のほか、ユーザーの質問に答えたり、スマートホームを制御したりする機能を備える。
HomePodは米国と英国、オーストラリアで12月に発売される予定で、価格は349ドルと高めに設定されている。Echoが180ドル、Google Homeはさらに低価格の129ドルであることを考えると、HomePodは割高だ。
Appleが新たに投入するHomePodは、音質面でAmazon EchoとGoogle Homeより優れていなければならない。それがAppleの設定した期待値だ。優れた競合製品にHomePodが勝つためには、その期待に応える必要がある。
Appleは大成功を収めているEchoと直接競合することを避け、EchoのようなスマートさとSonosのような品質のスピーカを組み合わせた製品としてHomePodを宣伝した。ワールドワイドマーケティング担当バイスプレジデントのPhilip Schiller氏はプレゼンテーションの中で、HomePodが「家を揺るがす」ほどの音であること、そして、「ひずみのないサウンド」を提供することを約束した。HomePodは何よりもまずスピーカであると位置付けられているが、誤解してはいけない。HomePodには、EchoとGoogle Homeの両方と共通する点がたくさんある。
HomePodは、Appleブランドの影響力だけでかなり売れるかもしれないが、本当の意味でAmazon EchoかGoogle Homeに勝つためには、非常に優れた音質を提供する必要があるだろう。なぜなら、HomePodはスマートホームのコントロールハブやエンターテインメント端末としては、いずれの競合製品にも追いつくのに苦労する、と筆者は予想しているからだ。
Amazon EchoもGoogle Homeも、レビューの音質テストで特に優れた結果を出したわけではない。いずれの端末も気楽に音楽を聴く分には問題ないが、米CNETは両方の端末で、音量を上げたときに音がひずむのを確認した。米CNETのレビュアーであるTy Pendlebury記者が、オーディオマニア向けに両端末の音質を解説した記事が掲載されている。簡潔に言えば、Pendlebury記者は音質にこだわりのあるユーザーに対して、いずれの端末も勧めていない。
Appleの言葉を信じるなら、HomePodはスマートスピーカを平凡なオーディオ性能から解放してくれるはずだ。
Schiller氏はWWDCの基調講演で、音質に関する印象深いスペックをいくつか発表した。HomePodは以下の機能を備える。
デモで実際の音を聞いたが、それは実例とはかけ離れるだろう。HomePodの実際の音質は、12月に制御された環境で同端末をテストする機会を得るまで分からない。部屋に合わせてサウンドを調整する機能は特にクールに思えるが、それは、平均的なリスナーでも分かるような違いを生むのだろうか。
Amazon EchoもGoogle Homeもユーザーの既存の音響システムに接続する手段を提供している。50ドルの小型「Echo Dot」はスピーカに接続することが可能だ。通常のEchoはBluetoothを提供する。Google Homeはあらゆる「Chromecast」対応端末や、Chromecastストリーマーを接続したあらゆるスピーカにオーディオをキャストすることが可能だ。
HomePodが349ドルという(Echoの2倍近い)価格を正当化できる唯一の方法は、それ自体をHi-Fi音響システムと呼べるだけの音質を実際に提供することである。
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