電通は2月13日、電通総研メディアイノベーション研究部を通じて、SNS上の動画利用実態に注目した「若年層のSNSを通じたビジュアルコミュニケーション調査」を実施したと発表した。調査には、グループ/デプスインタビュー(17~21歳の首都圏在住の男女15名)とウェブサーベイ(15~34歳の全国の男女1600名)を採用した。
動画世代のスマホユーザーを読み解く「ES-M-L(エス・エム・エル)」という視点では、若年層スマホユーザーを中心に、コミュニケーションの道具として動画を使用するユーザーが増加。この世代による、見るだけではなく使いこなしまでを含めた「動画時代」の特性を、同研究部では「動画時代のES-M-L」というキーワードで表現している。
ES(Ephemeral/Short)では、ある一定時間がたつと消えてしまうフォーマットの動画を「Ephemeral」(はかない、1日限りの、という意味)、短い尺で完結するタイプの動画を「Short」と定義。
そうした機能を持つサービスの人気が全般的に高まる中で、特にSnapchatとInstagramのストーリー機能は、EとSの両方の特性を兼ね備えたサービスとして注目されている。Snapchat Storiesが数年早く世に出ているが、日本ではInstagram storiesの利用率の方がやや高いという。
今回の調査では、ユーザーは「短い動画を好む」ないし「動画を見続けるかどうかを短い時間で判断する」ようになっているというShort性も観察された。
M(Moru)は、日本のスマホユーザー、特に女性のユーザーの行動を読み解く上で欠かせない視点だという。今回の調査では、10代女性で1投稿あたり平均3個の写真加工アプリを使うことが明らかになった。1枚の写真にフィルターをかける、文字を書き込む、絵文字やスタンプ・ステッカーで飾るなど多様な表現がされており、プリクラから続く日本の「盛る」文化が継承されているとしている。
また、2016年より国内でも流行しはじめ、2017年に入っても要注目の動画フィルターアプリ(ユーザーの顔など、対象物にリアルタイムな加工エフェクトを施してくれる機能を提供するもの)についても、ユーザー数が2倍にまで増える可能性があるという。現時点での利用者は全体の37.8%で、ポテンシャル層は合計34.7%存在するという。
使われ方としては、「ユーザー同士で盛り上がる/盛り上がれる」という、その時間をリッチにする特性が重要視されているようだ。
L(Live)では、FacebookやLINEなどSNS上でライブ配信できるサービスが利用率/認知者ベースの利用率ともに高まりを見せており、ユーザーからの支持を集め始めている。今後ますますソーシャル上でのライブ動画やユーザーの情報行動に注目する必要がある。
同社では、このようなSNSのES-M-Lが重要となる背景として、ウェブを通じたコミュニケーションの「いま」性が高まっていることを指摘。すべての要素が、そこでユーザーが体験する時間に関連する特性であり、ストックではなくフローの体験にフォーカスしたものであり、現代の情報環境の中でコミュニケーションに何を求めているのか、それを考える上でのヒントがここに含まれているという。
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