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JR東日本が取り組むIoT、ビッグデータ、人工知能--「モビリティ革命」で目指すもの - (page 2)

日沼諭史 別井貴志 (編集部)2017年01月16日 10時00分
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ダイヤ通りの運行だけでは不十分--データを活かして個人にあったサービスを

――次の「サービス&マーケティング」については、ユーザーエクスペリエンスにかかわるところかと思います。“今だけ、ここだけ、私だけ”の価値を提供するというキャッチフレーズですが、どのようにその価値を提供していくのでしょう。


Door to doorのサービスとして鉄道のあり方を考えていく必要があると話す横山氏

 スマートフォン時代、センサ時代の今は、お客さま個々人に対するサービスの質が問われていると思います。これまではマスのお客さまを相手に、最大公約数的なサービスを提供するのがどこの企業も一般的だったと思います。ですが、一人一人がスマートフォンを持つこれからは、その人だけに、その人がいるシチュエーションに応じてサービスする時代になるのは目に見えています。

 お客さまのニーズはそれぞれ異なります。顧客目線で見ると、たまたま便利だから東京駅から仙台駅まで新幹線に乗るというだけで、本当なら家から目的地まで直接行きたいはずです。移動のために、単にその途中にある鉄道を利用している、というわけですね。

 しかしこれからは、お客さまの必要に応じた情報や、移動にかかわる最大限のモビリティサービスを提供していかなければなりません。例えば仙台駅で降りた後、温泉地に行く時に不便さを感じていたとしても、今までは、「それはわれわれ鉄道会社の仕事ではありません」と言っていたのですが、顧客目線で見るとDoor to doorのサービス提供は必須なのではないかと思います。

 もう1つ、鉄道の特性としては、列車をダイヤ通り走らせるというのが最大のサービスでした。ただ、実態は、昼お客さまが少ない時にも15両という長編成の電車が走っている一方で、非常に混雑する時間帯や、他の路線でトラブルがありお客さまが殺到するようなケースがありました。

 そういう状況で単にダイヤ通りの運行をしているだけでは、これからのお客さまにとっては“遅れたサービス”と思われるのではないでしょうか。混んできたら臨時列車走らせるとか、故障があったら空いた線で他の列車を柔軟に走らせるなど、状況に応じたフレキシブルな輸送サービスをやっていくことも考えなければなりません。

 シチュエーションに応じた輸送だけでなく、顧客に合った情報や、鉄道を降りた後もわれわれのサービスを利用してもらう仕組みづくりなど、先回りするサービスもこれからは提供していく必要があります。われわれはデータをたくさんもっているという強みがあるので、それを活かして洗練されたサービスができるだろうとも思っています。

Door to Doorの移動と“Now,Here,Me(今だけ、ここだけ、私だけ)”の情報提供
Door to Doorの移動と“Now,Here,Me(今だけ、ここだけ、私だけ)”の情報提供

――多くのデータを持っているということですが、それを活かすためには顧客がどう考えているのかというインサイトが重要です。その収集はどのようにされているのでしょうか。

 お客さまからご意見・ご要望をお受けする「ご意見承りセンター」やホームページなどいろいろな調査を通じて収集しています。

 例えば、車いす、目の不自由な方など、交通弱者の方も、全体から見れば少数ではありますがわれわれのお客さまです。実は今は、車いすのお客さまの案内が非常に回りくどい形になっており、ご意見をいただくことがあります。いついらっしゃるのか、どの電車に乗られるのか、どこでお降りになり、どこのエレベーターをご利用になるのかを電話で確認しており、情報整理が難しいところがあります。エスカレーターやエレベーターの点検スケジュールが伝わっておらず、使おうと思ったら使えない、駅社員も知らなかった、ということもありました。

 そういったことをスマートフォンアプリなどで共有できるようにすれば、社内でも緊密に情報共有して、お客さまに伝わるようにでき、スムーズに案内できるようになるはずです。お客さまのデータ、設備のデータ等、われわれの駅社員、乗務員など、関係者それぞれで連携を取れるようにすることで、一つ一つは小さな改善でも、お客さまに満足していただけるサービスに近づけるのではないかと思います。

 また、Suicaの入出場データからシチュエーションに応じたサービスを提供することもできるでしょう。乗ろうとしている路線がもしトラブルで止まったとしたら、代替ルートを提示することも考えられます。そういう個々のお客さまに応じたサービスをやりたいと思っています。

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