1年前にエンタープライズ分野での提携を発表したCisco SystemsとApple。これによる一連のネットワークとコラボレーションの強化が、米国時間9月13日にリリースされた「iOS 10」に生かされている。「iPhone」と「iPad」のユーザーは、Ciscoの各種アプリケーション上でよりシームレスかつ効率的な体験が可能になる。
Ciscoでコラボレーション担当バイスプレジデント兼最高技術責任者(CTO)を務めるJonathan Rosenberg氏はブログ記事で、「iOS 10のリリースにより、CiscoとAppleのパートナーシップは結実する」とした。
コラボレーションの面では、Ciscoは、自社のクラウドベースのコラボレーションサービス「Cisco Spark」に、新しいiOS向けAPI「CallKit」を活用し、iPhoneでのネイティブな通話体験を実現すると発表した。ユーザーは今後、Cisco SparkのコラボレーションおよびVoIP性能をすべて利用できるほか、ネイティブな通話体験に伴う利便性も享受できるようになる。
たとえば、iPhoneユーザーがデバイスのロック中にモバイル通話を着信する場合、画面をスワイプして応答する操作により、簡単に通話を開始できる。CallKitを使用すると、この画面をスワイプして応答する操作が、Cisco Sparkでの通話にも適用される。別の例を挙げると、このAPIがあれば、iPhoneユーザーの通話履歴リストに、iPhoneでのすべての通話とともにCisco Sparkでの通話が表示されるようになる(これにより、ユーザーは特定のアプリを開いて通話履歴を探す必要がなくなる)。
Rosenberg氏は米ZDNetの取材に対し、「当社はかなり以前からVoIPアプリケーションを手がけているが、あまり使われていない」と述べた。しかも、モバイル通話がiPhoneで行われる時代において、「人々は企業インフラから完全に切り離されている」という。
CallKitの機能をいち早く組み込んだCisco Sparkのユーザーは、VoIPの音声と動画で品質の向上を体感できるほか、追加のセキュリティ機能などの利点も得られる。こうした統合により、Cisco Sparkでの通話は企業のテレフォニー用インフラを通じて送信されるため、企業は監査の要件を満たすことができる。
Ciscoはまた、Appleと協力し、主に2つの方法でエンタープライズ顧客向けネットワーク機能を改良した。2つの方法とは、Wi-Fi接続を最適化したことと、顧客がアプリに優先順位を付けられるようにしたことだ。
これらを実現するため、Ciscoの無線アクセスポイント(AP)とiOS 10搭載デバイスは「ハンドシェイク」を行う。これによりiPhoneやiPadは、ネットワークトラフィックなどの変数に基づいて、接続するAPをインテリジェントに決定できる。
Ciscoのエンタープライズインフラおよびソリューション担当バイスプレジデント、Jeff Reed氏の説明によると、この機能がなければ、デバイスは最も近いAPに接続するが、これは混雑度合いを考えると最適な選択肢ではない場合があるという。
今回新たに最適化された接続性により、Ciscoのネットワークは最も効率的なAPを検索する。また、人が動き回ると、付近のAPについてデバイスに知らせることもでき、ローミング機能を最大8倍高速化できる。
Ciscoはまた、iOS 10ユーザーに対し、特定のアプリケーション向けに「高速レーン」機能を提供して、iOS 10に埋め込まれたQuality of Service(QoS:サービスの質)タグを含むアプリに優先してネットワーク帯域を付与する。この新機能によって、iOSアプリケーション全体のパフォーマンスがエンドツーエンドで改善する。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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