Appleのイベントが始まる数時間前に、筆者は同僚と賭けをした。今回の新型「iPhone」には「Lightning」ではなく「USB-C」が採用されるだろう、と。
結果がどうなったかは、皆さんもご存じのとおりだ。
確かに、Appleが独自のコネクタにこだわり続けるのには、いろいろと理由がある。自社デバイスをもっと思い通りにコントロールできるし、ライセンス供与を通じて利益をあげることもできる(「MFi」認定、すなわち「iOS」デバイス向けに作られた製品に対する認定を受けたサードパーティー製のケーブルやアクセサリが売れるごとに、Appleにはライセンス料金が入ってくる)。USB-Cの互換性の問題も、このところ何カ月にもわたってモバイル業界を悩ませてきた。Appleは以前、「iPod」時代の30ピンコネクタをLightning仕様に変更したことで、激しい怒りを買ったことがある。「iPhone 5」を発表した2012年のことだ。
ということは、iPhoneへのUSB-C搭載は、決して実現しないのかもしれない。
だが、Appleは何としてもUSB-Cに移行すべきだと思う。その理由を説明しよう。
Appleが4年前にLightningコネクタを発表したとき、筆者はそれほど不満でもなかったが、当時主流だったMicro-USBを採用してくれればよかったとは思った。結局のところ、Lightningも当時使われていた「USB 2.0」標準を利用しており、転送速度も変わらなかったからだ。しかし、少なくともLightningコネクタは格段に使いやすかった。今では古びて見える30ピンコネクタと比べると、Lightningはずっと小さかった。しかも、Micro-USBとは違って向きがなく、裏表どちらでも差すことができた。
その後、「USB 3.0」の方が一般的になり、Micro-USB 3.0コネクタが登場する。幅の狭いMicro-USBと下位互換性はあったが、USB 3.0はかなり大きく不格好で、差し込みにくかったため、採用するスマートフォンはほとんどなかった。USB 3.0を採用した端末として知られているのは、「GALAXY Note 3」くらいだろう。
そういうわけで、筆者は「iPhone 6s」に至るまでLightningでもかまわなかった。
だが、今はUSB-Cがある。Lightningと同じくらいのサイズの統一規格で、ケーブルはどちら向きにも差すことができ、Lightningにできることすべてと、それ以上のこともできる。Apple以外の(すべてとは言わないまでも)ほとんどのベンダーが採用している。Appleが最新のiPhoneに採用したとしても、何の不思議もない。
そう、Appleはノートブックにいち早くUSB-Cを導入した企業の1社だ。しかも、極端な形での採用だった。2015年に登場した12インチMacBookは、USB-Cポートが1基あるだけで、それを充電にも周辺機器の接続にも使うものだった(正確に言うと、12インチMacBookにはもう1つポートがある。皮肉なことに、最新のiPhoneで廃止された3.5mmヘッドホンジャックだ)。
ポートが1つしかないことに不満の声も上がったが(分岐アダプタを使えば、従来のジャックを追加することも、周辺機器をつないだまま充電することもできる)、MacBookのUSB-Cポートは進歩的な機能で、双方向の電力供給にも対応している。つまり、接続したUSB-CデバイスからMacBookを充電できるということだ(今までどおり、MacBookからスマートフォンや他の周辺機器を充電することなども可能)。
2016年内の発表が期待されている新型のMacに、USB-Cが採用されるとのうわさもある。そうなれば、当面の間、新モデル「iPhone 7」や「iPhone 7 Plus」を一部のMacに接続するには、アダプタが必要ということになる。
なんとも皮肉な話だ。
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