世界モバイル端末市場で65%以上のシェアを誇るAndroidでは、Pokemon GOは現在、売り上げランキングで1位だ。ただし、Androidでソフトウェア開発者が得る利益は、iOSのApp Storeより約75%少ないことに留意しておく必要がある。
したがって、Nianticにもたらされる実際の売上高が、Google App Engineのクラウド利用にかかる実費(ゲーム内で発生するプレーヤーのやり取りの量を考えると、かなり多額であることは間違いない)に比べてどうなのかは、現時点ではまだ分からない。
これらすべての局面において、エンドユーザーによるゲームプレイアイテムの利用が重要であることは事実だが、事業者との相互協力なしに、ゲーム収益化の未来を真剣に考えることはできない。これまでのところ、Pokemon GOとNianticはこの点にあまり注力しきれていないようだ。
実はさまざまな事業者の方が、主に副次的な結果としてPokemon GOを収益化している。その方法を説明しよう。
Pokemon GOで購入できる人気の高いアイテムの1つに、「ルアー」がある。ルアーを使うと、ポケモンを引き寄せることができる。1回で30分間、効果が得られる。コインクレジットを使ってまとめて購入すると、1時間あたり約1.20ドルのコストでこれを実行できる。
現在のところ、ルアーは「ポケストップ」でモジュールとして有効化された場合にのみ機能する。ポケストップは「Google Maps」内で地理的に指定された地点のことで、Nianticによって選ばれる。ポケストップでは、プレーヤーは「モンスターボール」やポケモンに成長する「タマゴ」を手に入れることができる。
ポケストップに割と近い場所で実店舗を経営している人なら、これが何を意味するのかをご理解いただけるはずだ。
1時間あたりわずか1.20ドルのコストで、膨大な数の顧客を自分の店舗に引き寄せることができる。ルアーを利用することで、業績が75%も向上した事業者もいることが既に報じられている。
しかし、これはすべて副次的な効果だ。Nianticは事業者に対して、ゲーム内でルアーを購入したり、事業を宣伝したりするよう働きかけているわけではない。現時点では、事業者はポケストップや「ジム」(プレーヤーがほかのプレーヤーとバトルをして、ポケモンを勝ち取ることができる場所のこと。このゲームで唯一のソーシャル的な側面)を購入したり、出資したりすることができない。
事業者が既存のポケストップに、継続的に出資を受けるルアーを作成する方法(例えば、ルアーの料金を自動決済するクレジットカードアカウントの設定など)さえない。
好きな場所に「おこう」を置いてポケモンを引きつけることも可能だが、有効範囲や誘引力という点で、「おこう」はポケストップのルアーに劣る。そのため、事業者から見ると、「おこう」の費用対効果はルアーに遠く及ばない。
したがって、現時点では、Pokemon GOのビジネスへの活用に関して言えば、所在地、つまりポケストップに近いことが何よりも重要だ。
そして、Pokemon GOのスポンサーは実現しつつある。小売業界の最大手企業の一部がスポンサーになることを検討している(日本マクドナルドは20日、Pokemon GOとのコラボレーションを近々実施すると発表している)。
これが実現していけば、仮想世界と現実世界における企業の競争に、全く新しい力関係が加わることになる。
ポケストップやジムを購入したり、出資したりできるようになれば、企業による関与の度合いが明らかにこれまでとは別次元のものになるだろう。少なくとも、Nianticがこうしたアプローチを採用することは、理にかなっている。
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