「Pepperの父」林要氏の新たな取り組み--目指すは「寂しさを癒やす」ロボット

Katie Collins (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2016年06月24日 07時30分

 林要氏は夢中になれるものを新たに発見した。

 林氏は「『Pepper』の父」である。Pepperは、日本の通信キャリアのソフトバンクモバイルとフランス企業のAldebaran Roboticsが開発した魅力的なヒューマノイドロボットだ。目が円形で美しく、友好的にほほえむPepperは、人間の感情を読み取ることのできるロボットとして宣伝されている。既に販売が開始されており、学校にも導入されている。

 子どもが成長して家を出たら、親は誇りに思うと同時に喪失感を覚え、それを埋めたいと考える。それは林氏も同じだった。同氏は真の伴侶という役目を果たせるロボットを作り出すことで、その喪失感を埋めようとしている。

 「私たちは皆、寂しさを感じている。自分は寂しくないと言えば嘘になる」(林氏)

林要氏は「Pepperの父」として知られている。
林要氏は「Pepperの父」として知られている。
提供:GROOVE X

 林氏が人工知能(AI)やソーシャルロボティクスに熱意を注ぐ一方で、GoogleやAmazon、Microsoftなどの大手テクノロジ企業は独自AIの拡大にリソースをつぎ込んでいる。「Amazon Echo」や「Google Home」が歴史の質問に答えたり、ピザを注文したりすることができるのに対し、コンパニオンロボットという概念はAIの限界を押し広げるものであり、その手段として、私たちが感情面でどのような人間なのかを理解するだけでなく、人間に匹敵する共感能力や思いやりをシミュレートする。Pepperはその最初の製品にすぎない。

 Pepperは唯一無二の存在でもない。ソーシャルロボットの「Jibo」やASUSのスマートコンパニオン「Zenbo」、アザラシを模した「PARO」といった他のロボットも、程度の違いこそあれ、すべて伴侶の役目を果たせるように設計されている。こうした製品に対してよく投げかけられる大きな疑問は、スマートフォンで提供できる機能を超越して、本当の意味で人間の感情を読み取り、それに反応することが可能なのか、というものだ。現在の取り組みの成果に対する反応はさまざまだが、AIの進化を考えると、楽観視できる理由は十分にある。

Pepperロボットは東京都内のソフトバンク携帯電話ショップに設置されており、そこで接客をしたり、来店客をもてなしたりしている。
Pepperロボットは東京都内のソフトバンク携帯電話ショップに設置されており、そこで接客をしたり、来店客をもてなしたりしている。
提供:Katie Collins

 既に関心も高まっている。2020年までに、米国では10世帯に1世帯がロボットを所有するようになる見通しだ。現在は25世帯に1世帯である(現在のロボットは自動掃除機「Roomba」のようなものが多い)。日本では毎月1000台のPepperが販売されるが、需要が供給をはるかに上回っているため、数分で完売してしまう。Pepperは2016年中に米国でも発売される予定だ。

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