ごく一般の家庭がロボットと暮らす――SFのような未来が現実となってきている。私たちとロボットの関係は近い未来にどう変化していくのか、またその暮らしに起こりうる問題とは何か。2月18日に開催されたイベント「CNET Japan Live 2016」において、「ロボットは味方か脅威か」と題したパネルセッションが開催された。
パネリストは、ソフトバンクロボティクス 事業推進本部 本部長の吉田健一氏、シャープ コンシューマーエレクトロニクスカンパニー 通信システム事業本部 パーソナル通信第2事業部 第1商品企画部 チームリーダーの景井美帆氏、セールス・オンデマンド 第1事業本部 マーケティング部 取締役/部長の徳丸順一氏。モデレーターは、DMM.com ロボット事業部 事業部長の岡本康広氏が務めた。
感情認識パーソナルロボット「Pepper」は、2015年6月に一般家庭に向けて販売を開始した。吉田氏は、「一般向けモデルは大変ご好評をいただいている。毎月1000台ほど用意するが、あっという間に売れてしまう」と話す。これまでは限定販売だったが、1月28日から約100店舗のソフトバンクショップやウェブサイトでの販売も開始された。
「購入者に共通していることは、お金持ちで家が大きい。ロボットと暮らす将来がくることを見据えて、子どもの情操教育の一環としてロボットを購入している家庭が多い。また、50代から70代のロボットプログラムに取り組みたい人が購入している」(吉田氏)。
ソフトバンクロボティクスは、法人向けモデル「Pepper for biz」を2015年10月より提供しており、月給5.5万円で職場にロボットを置けるようになるとしている。これまでに500社以上の企業に活用され、15%程度の売り上げ増に貢献しているという。「Pepperに呼びかけられると、つい足を止めて話してしまう。ヒアリングから販売へと繋げる」(吉田氏)。
吉田氏は、「ロボットはユーザーインターフェースとして考えている。技術自体は変わらないが、人間側の接し方が異なる。エンゲージメントのレベルに大きく差が出る。また、ビッグデータ収集ツールでもあり、ロボット店員がいることで、すべてのお店で顧客データをデジタル化して取得できる。幅広いユースケースに合わせて開発ができるため、家庭や企業で活用しやすい」と語る。
ロボット電話「RoBoHoN(ロボホン)」は、2016年前半に発売が予定されている。音声で会話をすることで、さまざまな機能を利用できる。電話やメールといった携帯電話の基本機能に加えて、歩いたり、ダンスを踊ったりと、一般的なロボットができる機能も兼ね備えている。
「シャープは、人と機械の関係性を変えていくことをテーマに商品を開発している。RoBoHoNも、愛着を生んで人に寄り添っていく存在を目指して作った」(景井氏)。
RoBoHoNは、ユーザーの話しかけやすさなど、愛着を生む要素を重視した。そのため、人型のかわいらしい外観と、声や動き、目の色といったコミュニケーションの要素が多い。愛着を持てば常に持ち歩くようになり、話しかける回数が増えることでユーザーの習慣や思考を理解していく。そして、ユーザーに寄り添ったタイミングでコンテンツへ誘導していく。
「RoBoHoNというプラットフォームがより魅力的に感じられるようになれば、外部から対応アプリやサービスが増えていくのではないか。それにより、さらにRoBoHoNの魅力が増すというエコシステムができれば」(景井氏)。
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