マーケターの“仮説力”を取り戻す統合分析ソリューション「マゼラン」--サイカ平尾氏に聞く

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 データ分析などを手がけるサイカは、企業のマーケティング活動で生じたオンライン・オフラインのデータを統合的にアトリビューション分析し、マーケティング施策の貢献度評価とPDCA運用を支援するソリューション「XICA magellan(マゼラン)」を発表した。3月には、このマゼランの開発・事業推進で電通と業務提携を締結している。

サイカが開発したマーケティング支援ツール「XICA magellan」
サイカが開発したマーケティング支援ツール「XICA magellan」

 従来のアトリビューション分析では、アドネットワークやキーワード広告といった、ネット広告の効果データを統合分析するのが一般的だが、マゼランはネット広告だけでなくソーシャルメディアマーケティング、動画などのコンテンツといった広告以外の施策、テレビ、ラジオ、雑誌といったオフライン広告、PR活動、そして天候や世の中の出来事といった要素も統合するという。

 消費者が製品・サービスに触れるあらゆるタッチポイントを分析することで、施策のマーケティング活動の貢献度や施策同士の関係性を俯瞰し、全体を最適化できる点が、従来の分析ツールとの大きな違いだ。これまで、コンバージョンに直接関係しないマーケティング施策は評価が難しく、その施策がコンバージョンに間接的にどのような貢献をしているのかは見えない部分も多かった。

 しかし、マゼランによってこの課題を解決して、コンバージョンに至るまでのカスタマージャーニーを明確化することで、企業がマーケティング活動全体の中のどこに力点を置けばいいのか、改善が必要なのかを考えることができる。

 従来、こうした分析はマーケティングコンサルタントやデータアナリストが数カ月という時間をかけて行うものとされてきたが、マゼランは日次でこの分析が可能で、マーケティング施策に対するタッチポイントの動向と変化を素早く把握できる点も強みだという。

500人を超えるマーケターの悩みから、見えてきたもの

 では、サイカはなぜこのようなツールを考案したのか。従来のマーケティング分析が抱えている課題と、マゼランによって企業のマーケティング活動をどのように変革させたいのかを、サイカ代表取締役CEOの平尾喜昭氏に聞いた。

サイカ 代表取締役CEOの平尾喜昭氏
サイカ 代表取締役CEOの平尾喜昭氏

――マゼランが生まれた背景として、企業のマーケティング活動にはどのような課題があると考えていますか。

 そもそもの話になりますが、サイカはマーケティングの会社ではなく統計分析の会社として2012年に起業し、コンサルティング業務や統計分析ツールの開発・販売などを手がけてきました。分野や場面を問わず、統計分析によって世の中に貢献しようという考えでした。しかし、いざ事業を開始すると、仕事の依頼の9割以上が企業のマーケターからのもので、販売したツールもほぼマーケティング目的で利用されていたのです。

 これまで500人ほどのマーケターから相談を受けましたが、なぜマーケティング分析のエキスパートであるはずの彼らが統計分析を頼りにしてきたのか。結局、マーケティング活動ではさまざまな種類のデータが膨大に生まれるものの、彼らはそれをストーリーに落とし込めておらず、“勘”に頼る部分が多かったのです。

 たとえば、オンライン広告のコンバージョンひとつ取ってみても、自社の広告出稿だけでなく、競合の出稿状況や曜日、天気、気温などの外部要因、オフラインの出稿やPRといったさまざまなものが絡み合ってコンバージョンが生まれている。2013年頃から、そのことにマーケターがやっと気づき始めたのではないでしょうか。

マゼランで解析すると、悪天候が成果にマイナスの影響を与えていることがわかる
マゼランで解析すると、悪天候が成果にマイナスの影響を与えていることがわかる

 マーケターからはこんな話をよく聞きました。「データは膨大にある。それを俯瞰的に見ることもしている。しかしそれでも、どうしても手元にあるデータでは証明しきれない動きが多すぎる」と。理由がわからないのにコンバージョンが増加している、減少しているといった状況が多く発生し、理由を探ろうと思っても、手持ちの広告インプレッションやクリックのデータだけでは「勘=推測」の域を出ない検証になってしまっていたのです。

 加えてマーケターからは、「部分最適を徹底している」という言葉も聞かれました。しかしながら私たちは、そのような話を聞く中で、さまざまな要素が絡み合ってコンバージョンが生まれるというメカニズムの中で、マーケティング活動全体を最適化しなければ、相当なムダが生じてしまうという課題意識も持っていました。

 結局このような状況では、マーケターは自分自身で納得感のあるマーケティングのプランニングができず、また人にそのプランの有効性を伝えることができないのです。こうした悩みは多くのマーケターが抱え、数字でものごとを証明する統計分析によって、この悩みを解決したいというニーズがサイカに多く寄せられていました。であるならば、オンライン/オフラインを問わずあらゆるマーケティング施策の統合分析と全体最適が実現する世界をマーケターに提供したい。こうした考えのものと、マゼランの開発は始まりました。

 また、統計分析ツールを使うユーザーが増加する中で、ほぼすべてのユーザーから聞かれたのは、「マーケティングデータはデジタルでほぼリアルタイムに入手できるのだから、それをすべて繋げてほしい」というものでした。結局、マーケティング施策のスピードが速まり消費者が接触するメディアも多様化が進む中で、ユーザーの心境は常に変化しています。

 そうした中で、マーケターは常に新しいデータ分析で最新のトレンドを追っていかなければ、3カ月前のデータと分析結果では対応しきれないのです。そこで、全体最適だけでなくPDCA運用のリアルタイム性も追求しなければならないと考え、開発コンセプトを固めていきました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加