マーケターの“仮説力”を取り戻す統合分析ソリューション「マゼラン」--サイカ平尾氏に聞く - (page 2)

デジタルマーケティングがマーケターにもたらした功罪

――デジタルに閉じたマーケティング活動の枠組みを超えて、IMC戦略などオンライン、オフラインに関係なくマーケティング活動を統合的に運用し、全体を最適化していく動きはグローバル企業ではすでに一般的ですが、日本では今まさに注目が高まっている部分もありますね。

 これはある広告代理店の役員(元マーケター)の話なのですが、デジタルマーケティングが進んでツールも充実してきた中で、若いマーケターの“仮説力”が落ちてきているというのです。いつの時代も、マーケターにとって仮説を組み立てる力は非常に重要で、優れた仮説を立てたマーケターが勝ってきたはずなのに。

 データがまだ乏しかった時代、マーケターはそのデータの穴を埋めるためにさまざまな仮説を立てて経験値を上げてきました。しかし、マーケティングのデジタル化によって、さまざまなデータが手に入ったことで、逆にデータ以外のものごとに目を向けなくなってしまったのではないでしょうか。

 時代が変わっても、マーケティングの本質は変わらないはず。なのに、デジタル化によってマーケティングの効率化を支援するツールがどんどん先行してしまい、この本質が棄損してしまっていると思うのです。マーケティングは本来、人間が考えを巡らせて企画・実行していくものです。

 マゼランはマーケターに仮説を立てるための示唆を届け、PDCAの「P(Plan)」や「C(Check)」にマーケターを集中させたい。再びマーケティングを人の手に取り戻したいのです。でなければ、マーケティングの効果はどんどん下がっていくし、マーケターの役割がツールに置き換わって自動化してしまえば、マーケティングそのものも面白味を失ってしまうと思います。

――確かに、デジタルマーケティングの登場によって、施策に対するアウトプットがすぐに把握できるがゆえに、眼前の数字ばかりを追いかけるようになってしまったように感じます。

 デジタルマーケティングが進化する中で、DSPやDMPのようなPDCAの「D(Do)」や「A(Act)」を効率化するツールばかりが一気に登場して、それがアドテクとして定着してしまった。その結果、PとかCが置き去りになってしまい「D→A」のサイクルを効率よく回すことがマーケティングの目的になってしまった。

 すると、数パーセントの改善を積み上げていくことがマーケティング活動の成果になってしまい、それまでにないような新たなアイデアでマーケティング施策の効果が劇的にアップするようなチャレンジングな動きや、大きな変化がマーケティング活動の中で生まれなくなってしまったのではないでしょうか。

 数パーセントの改善のための最適化であれば、機械に任せておけばできるのかもしれませんが、劇的な変化は人間が考える中からでしか起き得ないもの。人が考えるからこそ、ダイナミックなマーケティングが実現するはずであり、テクノロジはこうした考える人に寄り添う存在であるべきだと思います。

 そういった思いから、マゼランは全体最適とPDCA運用を効率化するだけでなく、そこに人の思考が関わることで、その存在を単なる「ツール」に留めないものにしたいと考えました。私たちは、ただ数パーセントの最適化を支援するのではなく、マーケティング活動の劇的な変革に向けたチャレンジを支援したいのです。

アトリビューション分析に基づいて行った予算配分のシミュレーション。36%コスト削減しても9%の成果向上を予測している
アトリビューション分析に基づいて行った予算配分のシミュレーション。36%コスト削減しても9%の成果向上を予測している

――マゼランには、一般的なアドテクにありがちな「クリックやコンバージョンの向上を効率よく」という言葉ではない目的があるのですね。

 マーケターの仕事というのは、データを集めることでも、テクノロジと向き合うことでも、レポートを書くことでもないわけです。しかし、多くのマーケターにとってはこうした手段が目的化してしまっている。本来、マーケターは対象となる商品やサービスをいかに表現して、適切に消費者に届けるのかを考えて実行することが仕事であって、マゼランはこうしたマーケターが本来やるべき仕事に集中させたいという考えで開発しました。機能面で見ても、戦略・戦術の立案、施策効果のレビューといった、“人の思考”が関わるフェーズを徹底的にサポートすることを重視しています。

――マーケターの思考をサポートするという目的の中で、マゼランが特に重視しているものは何でしょうか。

 マーケターの思考をサポートするという目的の中で重視しているのは、「プロセスの再現性」です。得られた「データ」を「インフォメーション(情報・知識)」へ変換し、マーケターにとっての「ウィズダム(知恵・経験値)」にするためには、勘ではなく納得感のある情報や知識を元にPDCAを回し続け、そこから成功や失敗が生まれることが重要と考えます。

 そこで勝ち続けるマーケターは、再現性の高い知識や情報を元に知恵を蓄え続けることができる人。マゼランはこうしたマーケターを生み出すために、“たまたまではない”マーケティング施策の全体最適を再現性高く提供することを、唯一無二の特長としたいと考えています。

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