革新機構か鴻海かは今後1カ月をめどに--シャープ、第3四半期決算会見

 シャープは2月4日、2016年3月期の第3四半期累計(2015年4~12月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比7.1%減の1兆9430億円、営業利益は前年の512億円の黒字から290億円の赤字に転落。経常利益は前年の181億円の黒字から528億円の赤字に、当期純利益は前年の71億円の赤字から1083億円の赤字となった。

 第3四半期(2015年10~12月)の業績は、売上高は前年同期比13.0%減の6633億円、営業利益は前年の22億円の黒字から38億円の赤字に転落。経常利益は前年の73億円の黒字から141億円の赤字に、当期純利益は前年の119億円の赤字から247億円の赤字に転落した。

 代表取締役社長の高橋興三氏は、「第3四半期は、エネルギーソリューション事業でポリシリコンの評価替えで下振れしたが、それを他部門がカバーし、ほぼ想定通りの着地となった。構造改革も順調に進捗している。中期経営計画で掲げた重点戦略についても、当初計画通りに進んでいる」と述べた。

 テレビ事業では、米州の生産、販売から撤退し、ブランドライセンスビジネスへと移行。電子デバイスの生産体制の見直し、液晶事業の抜本的な構造改革の検討、本社建物と土地の譲渡契約を締結、役員と従業員の給与や賞与のカットを継続。カンパニー制を導入し、抜本的な人事改革を推進していることを示した。

リソースをより多くかけているのは鴻海

 支援先の選定については、「これまで複数社と検討してきたが、今は産業革新機構と鴻海精密工業の2社に絞り込んで検討している。今後1カ月をめどに最終的な締結ができるように協議を進めていく」とした。

シャープ 代表取締役社長 高橋興三氏
シャープ 代表取締役社長 高橋興三氏

 高橋氏は、「両社からともに積極的な提案をもらっている。その点は、ありがたく思っている。これを精査し、シャープの従業員、株主といったすべてのステイクホルダーにとってベストな結果が出るように多角的に検討していく」とする一方でこう続けた。

 「進行を子細にみると、どちらかの提案に対する検討のスピードが早く進んでいるのは確か。今、分析などでリソースをより多くかけているのは鴻海の方である。ただ、これは優先交渉権を持つとか、優位性があるというわけではない。真摯に、精緻に、公平性、透明性を持って内容を吟味している段階である」

 続けて、「シャープからは、4つの要望を出している。ひとつは、シャープという会社のDNAを残すこと。将来に向けて、成長するにはシャープがカンパニーごとに分解されることは大きなマイナスになる。現在の一体性を保ちながらやっていきたい。ここは両社とも理解を得ている。2つめは、生産拠点を含めて従業員の雇用の最大化を維持すること。この点も両社には理解してもらっている」と説明した。

 「3つめは技術の海外流出について。これは、鴻海が対象となるが、過去3年間に渡って、液晶生産のSDP(堺ディスプレイプロダクト)を共同出資で経営しており、この間、大型液晶に関する技術流出はなかったと理解している。鴻海が全体なマジョリティを持ったとしても、そうはならないと理解している。そして、4つめには、単に資金だけの問題ではなく、これらの3つのポイントを加味した好条件であることを求めている」

 産業革新機構では、シャープの液晶事業を分離し、ジャパンディスプレイと統合するとの見方が出ているが、「シャープには、プロダクツと液晶という2つの大きな塊がある。これは歴史ごとに違うDNAでもあり、この2つの塊を分けて考えているのは、産業革新機構でも鴻海でも同じである。鴻海では、シャープと同じ比率を出資しているSDPとの統合、他の液晶工場との統合もあるだろう。産業革新機構は、ジャパンディスプレイとの統合が視野に入るだろう。ここでは、お互いに、液晶とディスプレイ技術では特徴的なものを持っている。ここのシナジー効果は大きいだろう」とした。

 高橋氏はまた「それぞれ2社との相乗効果は、何がベストなのかを真剣に考えたい」として、「鴻海は、EMS(電子機器製造受託サービス)としての強みもある。シャープは家電などのプロダクツ事業では、(設計から製造までを担う)ODMにアウトソースして生産しているものも多い。鴻海は、EMSとしての強い部品調達力、生産力を持っており、これを生かすこともできる。シャープは、液晶テレビ事業について欧州、米州でブランドビジネスをやっているが、BtoBの観点から鴻海の販売力、顧客へのアプローチといったメリットも考えられるだろう」と述べた。

 「産業革新機構は液晶以外の部分のシャープもDNAと捉えており、AIoT(AI×IoT、モノの人工知能化)や白物家電、通信を組み合わせたシナジー効果を出したいと考えている。そこに資金が入れば成長にドライブがかかるだろう」

 現時点で支援先が決定していないことに対しては、「決断力がないといわれるが、それについては、それぞれの人が持つ意見であり、反論はしない。ただ、経営取締役、執行役員、そして最大の責任が社長である私にあるのは確かである。1カ月という期間は、相手がシャープを精査し、その提案をシャープが検証する期間である」とした。

 一部報道では、産業革新機構側の案として、高橋氏以下の経営陣の退任を要求しているとされているが、「構造改革を全力でやり切ることが経営責任である。それ以降については考えていない。その先がないということであれば、力が出ない。将来に渡っても、2つの塊のシャープが発展するためには、何がいいのかということを考えながら、両社の提案をしっかりと見て決断していくことになる。これが一番大事な経営責任である」との見解を示した。

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