革新機構か鴻海かは今後1カ月をめどに--シャープ、第3四半期決算会見 - (page 2)

 「5年後、10年後に社会やお客さまのお役に立てるのかということを考えていく。産業革新機構か鴻海精密工業かのどちらかに渡せば、それで仕事が終わりなのか、という質問であれば、それはノーである。そこまで決めたので、あとは勝手にやってくださいという立場にはない。単純に放り出すつもりはない。やりきることであり、それに対して、ほかの邪念はない。シャープが将来に向かって存続し、世の中に対して何ができるのかを真剣に考えている。経営陣が残ることを目指して選択するわけではない」

通期見通しは据え置くも利益は現段階で公表せず

 一方、第3四半期累計のセグメント別業績は、コンシューマーエレクトロニクスの売上高が前年同期比16.5%減の6398億円、営業利益は77.0%減の55億円。国内の4Kテレビ、11月に発売した電気無水鍋「ホットクック」などのヘルシオシリーズが順調に推移したものの、欧州の液晶テレビ事業のブランドビジネスへの移行で減収。液晶テレビの構造改革を推進などにより、第2四半期に続き、第3四半期も黒字化したという。

 AIoTをキーワードに、家電製品をロボット化するココロプロジェクトやモバイル型ロボット電話「RoBoHoN(ロボホン)」などの独自特徴技術を持った、新製品の創出に取り組むとした。今後は、液晶テレビの構造改革効果、携帯電話の新製品の売り上げ寄与、プラズマクラスターイオン関連製品の販売増が見込まれるという。

 エネルギーソリューションの売上高は前年同期比42.4%減の1133億円、営業利益が77億円の赤字。国内での住宅用、産業用ソーラーの減少が影響。ポリシリコンの評価替えが赤字の要因とした。「各地域の市場ニーズにあわせたソリューション事業への転換を図る。蓄電池、HEMS(家庭用エネルギー管理システム)の販売強化、メガソーラー発電事業を強化する」

 ビジネスソリューションの売上高が3.6%増の2612億円、営業利益は前年同期比1.2%増の238億円。「3年ぶりに投入したカラー複合機の新製品の導入に向けて在庫の適正化を図ったことが第3四半期に影響したが、安定した収益を確保。ソリューション販売、ITサービスの拡大による収益確保を目指す。新規事業となるロボットビジネスでは、警備ロボット、コンシェルジュロボット、業務用掃除機などを製品化。着実に成果が出ており、将来の収益基盤につなげたい」

 電子デバイスの売上高は23.1%増の3976億円、営業利益は60.7倍の100億円。構造改革の効果が安定した収益確保につながっており、センシングデバイスを中核とした付加価値領域へのシフトが貢献。車載カメラ、暗視カメラ、近接センサなどを活用したデザイン件数が増加しているという。

 ディスプレイデバイスの売上高は前年同期比11.7%減の6174億円、営業利益は372億円の赤字となった。大手スマホメーカー向けの販売が好調だったが、中国スマホメーカー向け液晶パネル、大型テレビ向け液晶パネルの減少、価格下落が影響したという。一部工場での稼働調整、コストダウンの取り組みの遅れもマイナスにつながった。

 「スマホ向け小型パネル、テレビ向け大型パネル中心から、PC、タブレット向け、車載向けの中型パネルを中心とした方向へとリソースをシフトさせる。第4四半期(2016年1~3月)には、インセルタッチパネルや中型液晶パネルによる収益改善と稼働率改善、コストダウンが見込める」

 今回、亀山第2工場での高付加価値型中小型液晶パネルの生産能力向上に向けて約112億円を投資することを発表した。

 2016年3月期の通期連結業績見通しは、10月26日に発表した予想修正を据え置き、売上高は前年比3.1%減の2兆7000億円、営業利益は100億円の黒字化を目指す。経常利益と当期純利益については現在、検討している構造改革が具現化し、合理的な算定が可能になった時点で公表するという姿勢は変えなかった。

 「第3四半期までの業績、足下の状況と今後の見通しを踏まえて、通期予想を据え置いた」とし、「当社は引き続き、厳しい経営状況の中にある。さまざまな構造改革の取り組みで通期公表値の必達に邁進する」と方針を明らかにした。

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