シャープは10月30日、2016年3月期第2四半期(4~9月)の連結業績を発表した。先に発表された通り、ディスプレイデバイスの減収減益を受け、売上高は前年同期比3.6%減の1兆2796億円、営業利益は同292億円の黒字から251億円の赤字、経常利益は386億円の赤字(同107億円の黒字)、四半期純利益は836億円の赤字(同47億円の黒字)となった。
落ち込みの要因はディスプレイデバイスの不振。中国市場での成長鈍化と価格競争激化への対応が遅れ、スマートフォン用液晶の販売が大きく減少した。
ディスプレイデバイスの上期売上高は前年同期比15.1%減の3911億円、営業利益は264億円の赤字(同208億円の黒字)となった。
シャープの代表取締役社長である高橋興三氏は「ディスプレイデバイスについては減益要因のほとんどを占めている。そういう意味では下振れ要因はディスプレイデバイスの1点に絞られており、それ以外は順調に推移している」と現状を分析する。第2四半期(7~9月)のみを見れば、ディスプレイデバイスを除く部門で黒字化しており、「ほぼ期初通りに進捗した」(高橋氏)との見方を示す。
液晶テレビについては「4Kで出遅れたことは強く認識している。2015年に入り、4Kのラインアップを拡充することで、日本市場ではほぼトップのシェアに上がってきた。4Kパネルで8K相当の解像度が視聴できる『AQUOS 4K NEXT』も投入し、日本市場において苦しかった部分は終わってきているように思う。テレビが家電の王様という考えはないが、ディスプレイが存在しない世の中は考えられない。今現在の形とは変わってくるかもしれないが、非常に重要なジャンル」(高橋氏)コメントした。
一方、液晶事業における分社化については「さまざまなオプションがあり、いろいろな可能性を検討している。現時点では複数社と協議をしているところ」と現状を説明した。
今後は、大幅な下振れとなったディスプレイデバイスで、ノートPC、IA(Industrial Appliance)用液晶へとカテゴリをシフトするほか、全方位型顧客戦略からの脱却を図るなど、下期に向けた収益改善策を打ち出した。
しかし、2016年3月期通期の連結業績予想を、売上高は2兆8000億円から1000億円減の2兆7000億円、営業利益は800億円から700億円減の100億円と下方修正。市場環境の見通しの甘さや経営者としての求心力について問われると「計画が達成できないたびに求心力が落ちていくのは当然。ただ、『RoBoHoN』や『ともだち家電』など、AIとIoTを組み合わせた新しい家電、『ヘルシオ』『ホットクック』などの新製品を創出するなど、新しい事業の芽が出てきていることも事実。その部分を伸ばしていくことで、みんなの気持ちを1つにし、もう一度求心力上昇に転じていかなければと思っている。簡単にできることではないが、踏ん張ってやっていきたい」(高橋氏)とした。
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