携帯料金の引下げ議論が決着--タスクフォースを振り返る - (page 3)

議論の大半はキャッシュバック問題に

 なぜ、端末価格に関する議論に終始したかといえば、その理由はこのタスクフォースの母体となる「ICTサービス安心・安全研究会」にある。同研究会では以前より、過剰なキャッシュバックなどの割引販売に関する問題の議論を進めており、5月に実施されたSIMロック解除の義務化も、同研究会の議論の中から決められたものだ。

 現在同研究会では、2年間の契約拘束を前提として携帯電話料金を大幅に割り引く、通称「2年縛り」に関する問題の解消に向けた議論も進められている。SIMロック解除や2年縛りは、いずれもキャリアが販売奨励金で端末を割引いた負担分の料金を通信料で回収するべく、他のキャリアにユーザーが容易に移行しないようにするための前提条件というべきもの。これらの見直しに力を入れてきたことからも、同研究会が販売奨励金を強く問題視していることを見て取ることができる。

 そして今回のタスクフォースの構成員も、その大半が同研究会の構成員となっている。そうしたことからタスクフォースの議論においても、大幅値引きの問題に対するキャリアへの批判と、その解消に向けた議論に多くの時間が割かれることとなったわけだ。当初は割引料金に直接規制をかけるなど、法律による直接的な割引規制を実施すべきとの声も多く聞かれた。


第4回タスクフォースの様子。販売奨励金による値引き販売が議論の中心となっていた

 実際、第4回のタスクフォースでは、韓国が実施した端末の割引補助金の上限を定める法律の事例も提示され、踏み込んだ規制をするべきか否かという議論もなされている。

 しかしながら、国が民間事業の料金にまで大きく介入することは、携帯電話の料金自由化を推し進めてきたこれまでの経緯もあり、すべきではないという意見も上がっていた。また業界内で割引額を決めることも、「私的団体が決めることになり、独占禁止法に抵触する可能性がある」(立命館大学名誉教授の船田正之氏)ことから難しいとのこと。

 そこで法律で直接規制をかけるのではなく、MNPを優先的に扱う過剰な販売奨励金を抑えるよう、ガイドラインで各社に要請する方向に落ち着いたようだ。

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