モバイルシフトが進み、SNSやニュースキュレーションアプリなどさまざまなメディアが登場したことで、人々が情報を得る方法が多様化し、それにともない商品やサービスを購入するまでの過程も変化している。マーケティングにおける、消費者の購買行動プロセスを表すモデルにはさまざまなものがあるが、特に名が知られているのは「AIDMA(アイドマ)」や「AISAS(アイサス)」だろう。
AIDMAは米国で1920年代に示されたとされるマスマーケティング向けのモデルで、「Attention(注意)→Interest(興味)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(購買)」を表す。一方、AISASは電通が2004年に提唱したモデルで、「Attention(注意)→Interest(興味)→Search(検索)→Action(購買)→Share(共有)」を表す。AISASに「Search」「Share」といった要素が盛り込まれているのは、このモデルが「インターネットの普及」を受けて開発されたものだからだ。
直近では10月に、デジタルマーケティング支援のアタラが、電通プロモーション・デザイン局の協力を得て開発した、これからの“IoT(Internet of Things)時代”を見据えたモデル「Dual AISAS(デュアル・アイサス)」を発表した。購買を中心とした従来のAISASを「タテのAISAS(“買いたい”のAISAS)」と捉え直し、消費者同士による主にデジタルネットワークを介した広告やプロモーションなどのブランド情報の拡散の流れを「ヨコのA+ISAS(“広めたい”のA+ISAS)」として加えている。
Dual AISASはIoTに着目したものだが、その視点を“コンテンツマーケティング”に変えた購買行動プロセスもある。考案者は、電通デジタル・ホールディングス(DDH)の内藤敦之氏。東南アジアの事業開発の一環としてコンテンツマーケティングに取り組む同氏が、その営業活動を円滑にするために考え出したものだ。
内藤氏が提唱するのは「DECAX(デキャックス)」というモデル。頭から順に「Discovery(発見)→Engage(関係)→Check(確認、特に疑いの目で見る)→Action(購買)→eXperience(体験と共有)」を表す。具体的には次のような流れだ。
コンテンツレコメンデーションプラットフォーム「Outbrain」を手掛けるアウトブレイン ジャパン社長の嶋瀬宏氏は、DECAXを知り、これに得心。同社の営業活動に生かすことを決めた。国内のコンテンツマーケティング市場の盛り上がりとともに、今後、DECAXは同領域の購買行動プロセスとして定着していきそうだ。
DECAXの考え方や、その背景にあるコンテンツマーケティングビジネスの動向について、両氏に聞いた。
--DECAXを生み出した背景、モデルの段階ごとの意図を教えてください。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」