2013年、米企業が保険コスト削減のために社員の健康管理に躍起であることを書いた(参照記事)。その後、医療保険改革法(通称オバマケア)が施行され、高齢者向け公的保険のメディケアも、2016年以降、医療の量より質をベースに支給されることになり、連邦政府も医療コスト削減に乗り出している。そこで、保険会社や医療施設でも、保険加入者の健康をいかに管理するかに尽力している。
こうした中、企業(健康組合)や保険会社向けに疾病予防管理サービスを提供する会社が台頭している。
疾病予防管理会社大手のHealthwaysでは、イノベーションは通常の企業風土の中ではなかなか生まれないとのことから、2009年に健康アプリを開発する会社、MeYou Healthをスピンオフさせた。拠点もHealthwaysのあるナッシュビルではなく、わざわざソフトやゲーム開発者の多いボストンに開設し、少人数でスタートアップ企業のような環境でのスタートを強いた。
MeYou Healthが開発するアプリは、臨床実験や行動科学に基づき、ソーシャル性とゲーム性を備えたものだ。より健康なライフスタイルを送れるように行動変化を促すのは一朝一夕では無理なことから、毎日、達成可能な目標を掲げ、小さなステップを踏みながら、少しずつ前進していくモデルである。他のメンバーからのフィードバックや励ましが得られるソーシャル性や楽しく目標達成ができるゲーム性も備わっている。
まず、同社のコア製品のDaily Challenge。「一日中、元気でいたい」「充実感を得たい」「ストレスを減らしたい」といったカテゴリを選ぶと、毎日、課題(challenge)が送られてくる。課題といっても「今週、オーツ麦の含まれた食品を1品食べること」といった非常に簡単なものだ。そして、なぜ、それが必要なのか説明が添えられている。その課題の完了を他のメンバーと共有し、励まし合うためのソーシャル機能が備わっている。
歩き管理アプリのWalkadooでは、毎日、メールやSMSで(スマホ不要)、各自の行動パターンに応じてパーソナライズされた、その日の目標歩数が送られてくる。歩数計は別に用意する必要があるが、FitBitやGarmin、無料ライフログアプリのMovesなどと連携させることが可能だ。ゲームを使って目標を達成したり、ダービーに参加して勝てば、ポイントやスタンプが付与されるというゲーム性も備わっている。
その他、健康な体重を維持するには一日の摂取カロリーを200カロリー削減すればいいという研究結果から「デザートを友人や家族と二分する」「自転車に20分乗る」といった200カロリー削減リストから選択するというHELLO 200アプリ、禁煙希望者は、毎日、訪問して禁煙を誓い、ニコチン置換療法や認定禁煙カウンセラーの指導も受けられる、世界最大のオンライン禁煙療法コミュニティのQuitNetがある。
親会社のHealthwaysでは、こうしたアプリを一般消費者に無料で提供するだけでなく、他の疾病予防・健康管理サービスとともに企業や保険会社を通じて保険加入者に提供している。加入者には希望すればWalkadooに連動して使える歩数計を無料で配布している保険会社もある。
同社ではWell-Being Trackerという健康トラッキングツールも提供しているが、これはユーザがオンラインで質問に答え、健康度を自己測定するものだ。ここでいう「健康(well-being)」とは疾病に冒されたり、脆弱でないというだけでなく、身体的・精神的・社会的に満足のいく生活が送れることというWHOによる全人的な健康の定義に基づいており、(1)身体、(2)キャリア、(3)社会、(4)金銭、(5)地域社会──の5つの側面で健康度を測っている。
この健康スコアを経時的にトラッキングし、また平均的なスコアと比較する。このデータは、MeYou Health製品開発に利用されると同時に、世論調査会社、ギャラップと協力して発表している全人的健康指数の測定に利用されている。
ターゲットはノマドワーカー--米国で始まったデジタルノマド支援ビジネス@getglobal(日本語) @TweetinEng(英語)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス