前回、新たなデジタルノマードワーカー支援ビジネスについて書いたが、そのひとつ、Hacker Paradiseのスポンサーとなっているのが、Toptalだ。
Toptalではフリーのソフトエンジニアに仕事を斡旋しており、「Hacker Paradiseの短期プログラムに参加したい人は、Toptalで仕事を見つけてくださいよ」ということだ。
同社に登録しているエンジニアらは北中南米とヨーロッパを中心に90カ国以上に在住し、請け負うプロジェクトの95%が遠隔で行われるという。TopTal自体、事務所を構えておらず、社員は世界各地に散在しており、社員にも旅行をしながら働くノマドライフを推奨している。
ただし、誰でもToptalで仕事を見つけられるわけではなく、登録するには厳しい審査過程を経なければならない。第1次面接から第3次面接まであり、まず第1面接で測られるのは語学力やコミュニケーション力、性格だ。英語が流暢であることが条件であり、英語での会話力、読み書き力が試される(登録エンジニアにアジア系が少ないのは、このためかもしれない)。第1次面接の合格率は26%であり、7割以上がここで落とされる。
次に90分にわたるアルゴリズム試験があり、その後のプログラミング試験では、技術力のほか、問題解決能力や創造性がチェックされる。そして最後がテストプロジェクトで、これに合格するのは、応募者のわずか3%ということだ。これはハーバード大学やNavy Sealよりも狭き門であり、社名のToptalはtop talent(トップクラスの才能・人材)が由来である。同社には、有名大学出身者、グーグルなどの有名IT企業元勤務者、大学教授なども登録している。
フリーのエンジニア向け仕事仲介サービスには、Upwork(前eLance-oDesk)など他にもあるが、大半が雇用企業と求職者を引き合わせるだけで、エンジニアの質のチェックや条件交渉、契約には関与しない。そのため、企業側は期待どおりの成果が得られなかったり、エンジニアには支払いがされなかったりと、両者にとって満足の行かないケースも多い。
Toptalでは、厳選した有能なエンジニアだけを集め、クライアント企業の各プロジェクトの要件に合わせて派遣する点が競合他社とは異なる。
クライアント企業からは、エンジニア派遣時に500ドルの手付金を徴収し、最高2週間のお試し期間を提供している。その期間に仕事の質に満足がいかなければ料金は無料で、手付金も返金するという品質保証付きだ。クライアントは、その時点で契約を終了するか、代わりのエンジニアの派遣を依頼することができる。
クライアントは、AirBNBやJPチェース・モーガン、KDDIアメリカ、ファイザーなど2000社以上にのぼるという。
前回書いたように、各地にコワーキングスペースができているのは、日々、一人で孤独に働くフリーランスの支援が目的だが、Toptalでは、各地で登録エンジニアら主導による交流会や技術会議などのイベントが開かれ、エンジニアのコミュニティが築かれている。エンジニアらは地元の他のメンバーと交流できるだけでなく、他のトップクラスのエンジニアらとの交流を通じて、新たなスキルを学ぶことも可能だ。
先進国ではソフトエンジニア不足が叫ばれているが、エンジニアが不足しているわけではなく、スキルに見合った報酬が支払われていないことが問題だというエンジニアも多い。社員ではなくフリーで働くことで、より高い報酬が得られると同時に、仕事と生活のバランスもとりやすくなるため、フリーを選ぶエンジニアも増えている。また、不得意な営業や交渉などを行わなくてよく、かつクライアント企業にはスタートアップが多いため、最初から最後まで製品制作に関われ、また毎回、革新的なプロジェクトに関われるというのも魅力のようだ。
技術力と英語に自信がある人は、Toptalの試験に挑戦してみてはどうだろうか?
ターゲットはノマドワーカー--米国で始まったデジタルノマド支援ビジネス@getglobal(日本語) @TweetinEng(英語)
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