Bottle Breacherは2014年にはテレビ番組「Shark Tank」に出演してケビン・オーリリー氏とマーク・キューバン氏から15万ドル(1800万円)の投資を受けた。
中でもオーリリー氏は「軍隊の訓練と起業家の育成には共通点があり、軍隊出身の起業家はビジネスでも問題をたやすく解決する」との考えを持っており、その後も何かとBottle Breacherを目にかけ、おすすめのギフトとして同サイトの製品を取り上げたり、交遊のあるクリント・イーストウッド氏や映画のキャストやスタッフに栓抜きをプレゼントして宣伝してくれているという。
Clint Eastwood is loving his custom #BottleBreacher! Congrats on @AmericanSniper's opening weekend! #SharkTank pic.twitter.com/QezbYLssGi
— Kevin O'Leary (@kevinolearytv) 2015, 1月 17
もっとも、Bottle Breacherの製品は決してオリジナルなものではない。イライジャー氏が帰国したときにも栓抜きに加工した銃弾をプレゼントされているし、使い切った弾薬を入手できる環境であれば、このビジネスを模倣することはできる。そうした中で、なぜBottle Breacherだけが高い人気を受けることになったのだろうか。
その背景には、「銃弾を栓抜きにする」という商品に、退役軍人のストーリーを付加し、商品のカラーを鮮明にしたことがあったようだ。起業家のロブ・メルリーノ氏はShark tankのブログで、この製品の特別な点は、現役の軍人、予備兵、退役軍人が手磨きで製品に仕立て上げている点にあると語っている。
“他の銃弾製の栓抜きでは、自社製品を組み立てるために現役や退役の軍人を使っている、というような宣伝はしていない。大部分の米国人は自分たちの国で作られた製品を買いたいと思う気持ちを持っている。そんな中で「軍」という角度を持ったことが、よいセールスポイントになっているんだ”(メルリーノ氏)。
本来戦争に使われるための弾丸が、同サイトでは結婚式や父の日のための栓抜きになって活躍している。そして、それを加工しているのは戦争に参加してきた軍人たちだ。このようなストーリーにより、自分たちの国のために働いた軍人たちに恩返しできる、というイメージが人々の心に浮かびやすかったのだろう。
尼口 友厚
ネットコンシェルジェ
CEO
明治大学経営学部卒。米国留学からの帰国後、デザイナー/エンジニアとしての活動を経て、2002年に国内有数のウェブコンサ ルティング会社「キノトロープ」に入社。 2003年、同社関連会社としてネットコンシェルジェを設立。eコマースとブランディングを専門領域とし、100億規模の巨大ECサイトからスタートアッ プまで150を超えるクライアントを抱える。
2015年にベンチャーキャピタル2社より資金を調達し、キュレーションコマースプラットフォーム「#Cart」を開始。趣味はブラックミュージック鑑賞。著書に「なぜあなたのECサイトは価格で勝負するのか?」(日経BP)。
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