調査の概要を簡潔にご説明します。研究はクチコミをアンケートによって採集し、そのクチコミをもとにA/Bテストをする2段階で実施しました。
その際、流山市への移住を推奨するようなクチコミのうち、どういった類いのものがより影響力が大きいかを実証するために、A / Bテストの概念に則って定量調査を実施。具体的には、アンケートで収集したクチコミを加工した対案を作成し、オリジナルクチコミと加工したクチコミとの差異を見るようにしました。例えば、下記のように、子育てに関する重要項目のうち何が最も魅力的に聞こえるものか(何を主軸にマーケティング活動でメッセージを発信すればよいのか)を知るために、「同世代のお母さんが多い(A)」と「同世代の子どもが多い(B)」を質問にしました。
万物においてそうですが、問いの質が答えの質を決めます。マーケターの永遠のテーマである顧客理解を実現する上で、アンケートには質が求められます。よって、どのような対案を立てるかという設問設計が大事なのです。顧客の心の着火点を覗き見るようにして、彼らのインサイトの源泉を探らなければなりません。
多くのマーケターが陥ることに、WhatToSay(訴求点)よりもHowToSay(訴求表現)へ傾倒してしまう点があります。視野が狭くなり、メッセージとして3倍も5倍も強力な訴求点を見過ごしてしまう点に原因があるように思います。このようなときMECEで考えることは有効です。たくさんの候補を出して優先順位を付けながら、実査に活用する設問を絞ることには、時間と思考力が求められます。私たちメソッド委員会もご多分に漏れず、対案設計議論は白熱し、さまざまな視点から対案を立てました。
実際に出しそろえたテーマは上記の約2倍になりました。なぜなら、この設問設計の成否はA/Bの差異の大きさに表れます。それほどに重要と位置づけられます。具体的には、どれも一定の差異であれば、顧客理解において核心に迫れていないことを示します。顧客が重要視している価値観を見過ごしている可能性が高いでしょう。一方、いくつかの設問において大きな差異が認められれば、顧客への洞察において確かな手応えを感じられるものです。
ではさっそく、研究内容を振り返りましょう。研究結果でユニークだった3点をご紹介します。
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