サイバーエージェントは10月16日、動画広告市場専門の調査組織「オンラインビデオ総研」を設立したと発表した。調査の第1弾として、広告主の利用動向や今後の普及に向けた課題をより正確に把握し、プロモーション効果の高い動画広告の提供を目的に、シード・プランニングデジタルインファクトと共同で、国内大手企業の動画広告の利用動向に関するアンケート調査を実施した。
調査期間は、2015年6~8月。調査方法は、郵送アンケート調査、ウェブで回答されたデータを集計。調査対象は、日経広告研究所「2014 年度有力企業の広告宣伝費」に掲載されている大手広告主および、年間売上500億円規模の大手企業1650社と、ビデオリサーチインタラクティブ「Web Ads Report Advance」における2014年1月1日~12月28日のPCインターネット広告出稿額上位1000社から、重複処理を実施した。
大手広告主企業の動画広告の出稿率は、2014年時点で20%、昨年対比211%と出稿率が急増している。また、2015年の出稿率は昨年対比189%の出稿率37.8%を見込み、今後もさらなる成長が続くと予測されている。このままのペースで2016年も推移すると、全体の出稿率が50%を超えるという。
動画広告の出稿目的については、商品・サービスの「認知獲得」を出稿目的とする大手広告主企業が全体の91.7%に該当。続いて、商品・サービスを訴求する「Webサイトへの誘導」が、全体の50%に該当している。
商品・サービスの「想起の獲得」、「詳細理解の促進」は、ブランディング広告に多いKPI(重要業績評価指標)である一方、商品・サービスを訴求する「Webサイトへの誘導」「Webサイトからの購買促進」は、ダイレクト広告に多いKPIだという。
また、全体の約9割に該当する、商品・サービスの「認知獲得」は、ブランディング広告・ダイレクト広告に関わらず、動画広告ならではの共通の指標として、一般的に認識されており、出稿目的が多様であることも特徴のひとつだと考えられる。
動画広告を出稿しない理由については、動画広告を出向したことがない企業のうち、48.1%が「効果が未知数」のため広告出稿を躊躇していると回答。続いて、「自社商品・サービスの訴求先として適切ではない」と考えている企業が32.1%となった。
動画広告の効果が未知数という回答については、動画広告を評価するための効果指標が業界内で統一されておらず、各媒体によって効果指標がバラバラであること、そして、動画広告の出稿目的が、ブランディング広告に多いKPIとダイレクト広告に多いKPIの2種類に分かれ、効果の判断が難しいと思われていることが要因だと考えられる。
2015年の動画広告予算の予定については、動画広告を出稿している大手広告主企業のうち、2015年の予算を「増やす」と全体の36.8%が回答。さらに「同等」が21.1%。「増やす」「同等」の回答は、全体の57.9%を占め、約6割が前年出稿額以上の出稿を予定している。
動画広告のクリエイティブについては、テレビCM素材をそのまま流用するケースは25%と少なく、ウェブ向けに新たにクリエイティブ制作をするとの回答が54.2%と最も多かった。また、テレビCMとウェブ向けのクリエイティブを併用するとの回答が20.8%となり、全体の約75%が、独自にクリエイティブ制作を行っていることがわかった。
このことから、動画広告ならではの効果を高める動きが見受けられ、広告主からの制作ニーズは今後も高まっていくと判断できるという。広告代理店や制作会社は、コストパフォーマンスを意識したウェブ向けのオリジナル素材の制作体制を充実させていく流れになりそうだとしている。
オンラインビデオ総研では今後、広告主の出稿目的に応じたKPIの共通化、広告評価指標の整備を推進するという。
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