ジョギングの後、汗でビショビショのウェアを着替えたい。しかし着替える場所がどこにも見つからないから、その服のままでいるしかなかった。もしくは車、トイレに行ってコソコソ着替えるしかなかった――。そんなジョガーは多いはずだ。女性の場合は特に。
濡れたウェアを、その場で着替えることができたらどれだけ楽か。そんな思いを叶えてくれるドレスの販売サイトが2014年、米国で誕生した。今回取り上げる「The Undress」だ。
2014年9月にクラウドファウンディングサイトのKickstarterで総額約61万ドル(約7300万円)の支援金を7000人を超える支持者から集めるなど、世界中の女性から支持を得ているようだ。現在は予約受付の段階で、実際に商品が顧客の手に届くのは8月からとなっている。
The Undressの創業者は男性のデニス・カコ氏(写真右)と、女性のエイプリル・エストラーダー氏の2人だ。
カコ氏は子どもの頃から絵を描くのが好きで、17歳の頃に漫画家としての活動を始めた。19歳になると教育ソフトを作っている会社のアートディレクターとして働くようになる。その後は、Tシャツをデザインして販売する会社を設立したり、車のデザインをしたりとさまざまなクリエイティブに関わってきた。
そんなカコ氏には、マラソンイベントを主催するスポーツ愛好者の一面がある。自身もトライアスロンやマラソン、サイクリングなどに取り組んできたという。
ところが、スポーツ関連のイベントに参加していて、気になったことがあった。こうした催しで、女性が着替えをする場所がきちんと確保されていないことだ。イベント終了後になると女性が車の裏、汚いトイレ、またはその場でタオルを巻いて服を着替えており、女性たちは大変だと同情するとともに、こうした問題を解消する良い方法はないかと考えるようになった。
「男の目から見て、女性がそんな苦労をしなければならないことが不快だって思ったんだよ」(カコ氏)。
実際にこのような苦労をしている女性たちがこの問題をどう考えているのかを知りたいと考えたカコ氏。後にサイトの共同創業者となるエストラーダー氏に話してみたところ、エストラーダー氏やその友人の女性も、運動後の着替えに困っていたことがわかった。
不満点を見出したカコ氏は、エストラーダー氏とともに問題を解決するためのアイデアを模索して「服を着替えることができるドレス」というアイデアを考えつく。そしてTシャツやアパレル会社の経営に携っていたカコ氏がドレスのデザインを担当、ドレスの成形はエストラーダー氏と服飾の仕事をしていた彼女の母親が担当することになった。
カコ氏らは試作や試着を何度も重ねたうえで自信作のドレスを完成させると、2014年9月にクラウドファウンディングサイトのKickStarterでプロジェクトを開始。想像以上の反響を得て、わずか3日で目標額の2万2000ドル(約260万円)の支援金を集めることに成功した。
プロジェクト終了の11月1日には、総額約61万ドル(7300万円)の支援金を7000人を超える支持者から集めていた。これはKickStarter上の女性ファッションジャンルでの最高額の支援金だったという。
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