AdRollは6月17日、マーケターの新規顧客獲得を支援するサービス「AdRoll Prospecting」を発表した。日本を含むグローバルで既存顧客向けにベータサービスとして限定的に提供を開始し、正式提供に向けて準備を進めているという。同サービスについては、米本社のpresident兼CMOであるアダム・バーク氏が5月に明かしており、「(同サービスを提供することで)我々はフルファネルのパフォーマンス広告プラットフォームを提供することになる」と話していた。
このサービスでは、広告主が保有する匿名の顧客プロファイルを集積した「IntentMap」と呼ばれる潜在顧客データベースを活用。広告主がオプトインしてIntentMapに参加すると、AdRoll Prospectingがその広告主の保有する顧客プロファイルと行動パターンが類似する新規ユーザーをIntentMap上で探し出し、ターゲティングすることができるという。IntentMapはすでにグローバルで1000社以上が参加し、10億件を超える匿名の顧客プロファイルに接続しているとのこと。
具体的には、広告主が自社のウェブサイトに組み込む「スマートピクセル」と呼ばれるAdRollが提供するCookie発行タグによる来訪者の追跡や、広告主が保有する自社CRMデータとAdRollとの連携によって、デモグラフィックや位置情報などの普遍的なスタティックデータと、ネット上の行動パターンや購買履歴、広告の閲覧状況などを解析した流動的なインテントデータを組み合わせて“リーチすべき顧客像”を割り出し、リアルタイムで広告ターゲットの決定と入札を実施。付加価値の高い見込み顧客にリーチし、加えてマルチデバイスによるリターゲティングができることにより、高い広告パフォーマンスを実現するという。
なお、顧客プロファイルの利用にあたっては、広告主サイトで公開している利用規約やプライバシーポリシーへの記載を必須としており、サービス自体も米国IAB(The Interactive Advertising Bureau)と日本インタラクティブ広告協会(JIAA)のガイドラインを遵守しているとのこと。
AdRoll日本法人 代表取締役社長の香村竜一郎氏は、このサービスが生まれた背景として「日本のマーケターは自社が保有している顧客データをほとんど活用できていない」と話す。広告主がサービス上で共有するユーザープロファイルとAdRollが蓄積していくユーザーの流動的な行動データによって生み出される巨大なIntentMapを、ビッグデータをマーケティングに活用したいという課題に対する答えだとし、ユーザープロファイルを分析して質の高い新規見込み顧客に接触することが興味喚起やパフォーマンスの向上に大きく寄与すると説明した。
なお、AdRollはグローバルで150カ国2万社以上の企業が利用するディスプレイ広告ソリューションで、今年3月に日本法人を設立。取締役会長にはGoogle日本法人元代表取締役の有馬誠氏が就任し、代表取締役社長の香村氏もGoogleで9年間新製品・ソリューション担当執行役員を務めた経歴を持つ。
香村氏はAdRollの目標について「ディスプレイ広告をスケーラブルに、どんな企業でも簡単に活用できるようにすること」と述べ、高度なアルゴリズムによる自動的なデータ分析と透明性が高く使いやすい管理画面によりITリテラシーが低い企業の担当者であっても自分で運用できる点が強みだと説明する。
2万社の顧客は規模の大小や業種の幅広さが特徴で、リターゲティング広告を活用している主要4業種(物販、人材、不動産、旅行)だけでなくBtoBのテクノロジ企業など多様な10業種程度が利用しているという。日本でもすでに複数の広告代理店とパートナーシップを結んでいるほか、マイクロアドのSSP「MicroAd COMPASS」とRTB接続を行っており、リターゲティングによる実績にAdRoll Prospectingを加えることによって今後日本での展開を本格化していきたい考えだ。
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